部門や顧客との接点が多岐にわたるエンタープライズ企業(大企業・中堅企業)では、それぞれに顧客データが分断され、一貫性のあるカスタマーサクセスを提供できないことが大きな課題となっている。これを解決する有効なデジタル基盤として注目されているのがCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)だ。

カスタマーサクセスを妨げる部門間の壁

 効果的なカスタマーサクセスを実施するために不可欠なのは、顧客の本質的なニーズの共有である。

 それを得るためには、すでに提供した製品やサービスに対して、顧客がどのような反応を示したのかを多面的に分析する必要がある。

「特にB2C企業の場合、販売チャネルがオンラインストアや直営店、百貨店など多岐にわたるため、どのチャネルを通じて提供した製品・サービスがどれだけ顧客に響いたのかを総合的に分析しないと、有効なカスタマーサクセスを実施することはできません」と語るのは、CDPで国内最大シェア(※)を誇るトレジャーデータの小澤正治最高執行責任者である。

トレジャーデータ
最高執行責任者
小澤正治氏

 ところが、エンタープライズ企業の場合、製品・サービスごとに部門が分かれ、販売チャネルも多岐にわたるため、思うようにデータ統合が進んでいないケースが少なくない。

「社内での販売競争に勝つため、顧客データを自部門で囲い込み、他部門には共有したがらない傾向もある。あらゆる顧客データを全社で共有すれば、首尾一貫した成功体験を提供できるようになるはずですが、社内における“データの民主化”が進んでいないことが、カスタマーサクセスの質を落としているのです」と小澤氏は見る。

 エンタープライズ企業で顧客データの統合が進まないのには、技術的な課題もある。部門ごとや販売チャネルごとに構築されたデータベースを集約するためには、相当な時間とコストを要する。しかも、「異なるルールやフォーマットに基づいて構築されたデータベースを統合するには、データの形式を整え直さなければならず、整形できないデータは捨てざるをえない可能性もあります。時間やコストがかかるだけでなく、重要な経営資産である顧客データを無駄に失ってしまうリスクも伴うことから、二の足を踏む企業が少なくありません」(小澤氏)。

※ ITR Market View 2021

増え続けるテクノロジーツールにも柔軟に対応

 そうした課題を解決するデータ基盤として注目されているのが、CDPだ。これは、顧客に関するあらゆるデータを社内外のデータベースから収集して統合することで、顧客一人ひとりに最適な体験を提供しカスタマーサクセスを実現できるプラットフォームだ。

 カスタマーサクセスニーズの高まりとともに、国内のCDP市場は年率約20%のペースで急成長を遂げている。なかでもトレジャーデータが提供する「Treasure Data CDP」は、40%以上という圧倒的な市場シェアを誇る。

 国内トップシェアの理由について、小澤氏は「既存のデータベースを無駄にすることなく、そのままの形でデータ統合できることが、評価されている大きな理由の一つです」と説明する。

 先ほども述べたように、既存のデータベースを統合する際には、データの形式を整え直さなければならないが、「Treasure Data CDP」は、フォーマットが異なるデータでも「あいまい突合」という技術を使って統合できる機能を備えている。これによって、さほどの時間やコストをかけなくても、社内外のありとあらゆる顧客データを一元化できる環境が整うのだ。

 複数の事業者からツールを調達する企業が増えている中、トレジャーデータは多様なツールやデータベースに、簡単に接続できる「連携コネクタ」を170種類以上用意していることも選ばれる理由だ。企業はツール間連携のための開発をする必要がない分、スピーディに導入でき、費用対効果の高い運用が可能となるのも魅力だ。