日経ビジネス電子版 Special

最高の顧客体験を提供する顧客データ統合プラットフォーム

トレジャーデータ

社会のデジタル化に加え、コロナ禍で働き方、暮らし方は大きく変化した。企業と顧客との接点がますます多様化するオムニチャネル時代だからこそ、データを蓄積、分析してパーソナライズを進め、顧客像の解像度を高めるCDP(カスタマーデータプラットフォーム)の重要度が増している。グローバルにCDPを展開するトレジャーデータの施策と事例から、その利用価値、導入のヒントが見えてくる。

トレジャーデータ

最高執行責任者(Chief Operating Officer)

小澤 正治

トレジャーデータ 最高執行責任者(Chief Operating Officer) 小澤 正治氏

顧客情報をセキュアに一元化CDPに対する期待が高まる

小林まず、CDPを取り巻く現状についてお聞かせください。

小澤CDPは顧客データを統合するプラットフォームであり、特定の顧客情報にひも付けたデータはマーケティングへの活用から浸透していきました。現在の課題は、カスタマージャーニーの多様化による顧客接点の増加にどう対応するかです。また、そもそもの話として、CDP導入の前提となるデータ統合が進まず、サイロ化してしまう現状もあります。

小林データのサイロ化は以前から指摘されていますね。

小澤グランドデザインがなく、部門最適で進められてきた結果です。データドリブンの時代となり、その問題が大きくクローズアップされているのだと思います。

小林そうした状況でCDPには何を期待されているのでしょうか。

小澤企業の普遍的な使命は、顧客をきちんと理解して最適なサービスを提供することです。それには顧客行動やニーズの把握が欠かせませんが、フェイス・ツー・フェイスの時代は顧客に関するナレッジやインサイトの活用が属人化する傾向があり、サービスの質にばらつきが生まれていました。コロナ禍によって顧客接点がデジタル中心に変わり、データを収集しやすくなりましたが、個人情報の取り扱いに関するレギュレーションは厳しくなっています。情報を一元化し、セキュアな環境で顧客の解像度を高めるため、CDPが求められているのだと思います。

170超の外部ツールとも連携、短時間で営業施策へつなぐGUI環境

小澤当社のCDPプラットフォームについて少しお話させていただくと、多種多様なデータを収集・蓄積する基盤を持つことが、前述した課題に対する解答になるでしょう。会員情報や、Webサイトやアプリの行動ログ、広告の配信ログ、CRMやMAで保有するデータ、動画視聴ログ、サードパーティーデータなど、様々な種類のデータを蓄積でき、期間・容量の制限はありません。ローデータをそのまま扱うこともできます。

小林データの重要さは様々なところで指摘されていますが、専門の知識やノウハウが必要であり、ハードルの高さを感じる企業もあるはずです。

小澤確かに、どれだけ多くのデータを最小限の手間で収集できるかがポイントになります。それに対して効果的なのは、外部ツールとの連携です。当社のプラットフォームは170を超える連携コネクタを持ち、時間をかけずに様々な施策を立ち上げられるように設計しているのも特徴です。データと機械学習を連携させ、類似顧客の抽出、セグメント管理、予測スコアリング機能もあります。

小林それらがIT関連の部署でなくても利用できる、と。

小澤そこは常に留意しているポイントで、例えばマーケターがIT部門に頼らず、1人で扱えるGUIを開発するなど、ハードルは可能な限り低く設定しています。

CDPでコンタクトセンターも変革データ統合と顧客の見える化へ

小林最初に、CDPはマーケティング領域から浸透したとありましたが、今後、必要とされる局面は増えていくのでしょうか。

小澤CDPとマーケティングの親和性が高いのはその通りで、データ利活用によってパーソナライズされた顧客体験を実現できます。CDPによってより精度の高いマーケティンングが展開できるよう、当社としても取り組んでいくことに加え、今後は、マーケティング以外での顧客接点である、セールスとアフターサービスまでを統合することで、最高の顧客体験を提案できると考えています。

小林顧客の解像度を高められれば、営業面での利用価値は高まる気がします。

小澤おっしゃる通り、営業の他に、コンタクトセンターもCDPで変革、効率化できるはずです。当社では、従来のサービスのほかに営業向けの「CDP for Sales」、コンタクトセンター向けの「CDP for Service」という、2つのプラットフォーム提供も始めました。「CDP for Sales」は、顧客ごとのデータを企業アカウントと統合し、営業データ等と連携して法人営業の高度化を支援します。「CDP for Service」は、顧客データをフル活用して、最高の顧客体験を提供するコンタクトセンターのためのプラットフォームです。

小林CDPによるコンタクトセンター変革のイメージをお聞かせください。

小澤問い合わせ時のネガティブな感情をポジティブに転換して、顧客体験を向上させるにはコンタクトセンターの対応がカギになります。それには、カスタマーサポートの対応データ、顧客の行動データを組み合わせてデータを統合し、顧客を見える化しなければなりません。顧客の解像度を高めて対応し、課題を深掘り、場合によっては先まわりして提案できれば印象は大きく変わるでしょう。「CDP for Service」ならそれが可能になります。

1ヶ月かかっていたデータ分析が0分に顧客体験の抜本見直しでCVRも改善

小林CDPの実践事例を紹介していただけますか。

小澤アパレル企業の事例ですが、顧客データがサイロ化している、接客スキルが属人化している、メールの個別出し分けといったパーソナライズができない、という3つの課題を抱えていました。そこで「Treasure Data CDP」によって顧客データを統合し、CRM/MI/BIとの連携を進め、データを一元化し、顧客360°ビューですぐにデータ活用できる仕組みを構築されました。提供情報を高度化することで、接客品質やアフターフォローの質を向上させ、最高の顧客体験を提供する取り組みを進めています。

小林もともと顧客情報はデータ化されていたのでしょうか。

小澤CRMツールを導入していました。成果としては、従来は顧客データの分析に約1週間、場合によっては1ヶ月かかっていたそうですが、データを一元化したことで前処理を含めて0分になり、データに基づく意思決定の速度が飛躍的に改善されました。さらに、パーソナライズされたメール配信によってCVR改善、接客の深化・速度向上も実現できたと高い評価をいただいています。

小林CDPを導入する際、注意する点があれば教えてください。

小澤将来、新しい顧客チャネルが生まれれば、当然そこにも対応しなくてはいけないので、スケーラビリティが重要になります。また、個人情報の取り扱いは、今後さらに法規制が厳しくなると予想されるため、データガバナンスの信頼性を高める必要があります。スケーラビリティ・法規制対応と共に、マーケターなど専門知識のない方でも利用できるGUIが用意されているかも含めて選ぶのが重要です。

業務対応領域の広さ ~CDP for Beyond Marketing

マーケティングに留まらないTreasure Data CDPの2つのプラットフォーム