LINE・ヤフー・トレジャーデータで拡大するデータ活用。3社が目指すこれからのデータ連携とは

LINEは、5月18日に「LINE BIZ DAY」をリアルとオンラインのハイブリッド形式で開催した。LINE・ヤフー・トレジャーデータが目指すZホールディングスとしてのチャレンジを紹介した。

LINEは、5月18日に「LINE BIZ DAY」をリアルとオンラインのハイブリッド形式で開催した。今回は「LINEの描くデータ活用の未来と、広告サービスの進化」と題したセッションをレポートする。このセッションには、LINEの宮本氏、橋本氏、トレジャーデータの三浦氏、ヤフーの森岡氏が登壇。LINEのデータ戦略や新しい取り組み、3社がこれから取り組んで行くことを語った。

データ活用基盤としての働きを目指すLINE

まずセッション冒頭、LINEの宮本氏が登壇し、データ活用に関して語った。昨今はCookie規制やIDFAの利用制限など、プライバシー保護の機運が高まっており、法律面も整備が進んできているなか、LINEは改正個人情報保護法に対応したプライバシーポリシーを2022年3月に改訂。ユーザーに対して個人情報に関する同意取得を行っているという。

LINE株式会社 マーケティングソリューションカンパニー カンパニーエグゼクティブ
プランニング統括本部 本部長
宮本裕樹氏

さらに、宮本氏は「Online Data」「Offline Data」「Client Data」など、マーケティングに活用できるデータが分断されている状態にあると語った。この状況に対し、LINEは法律やガイドラインに準拠しながらデータ活用基盤の構築を進めてきたという。

たとえば、2021年10月から提供している「ビジネスマネージャー」の機能拡充や、新たに「CDP」や「Data Clean Room」を開発し、シームレスにデータ連携できるような環境を今後整えていく。

分断されるマーケティングデータをLINEでつなぐ

「ビジネスマネージャー」ではLINEの中のユーザー行動データや広告の接触データをもとにしたオーディエンスやウェブサイトトラフィックやIDアップロードをもとにしたオーディエンスなどを各プロダクト間で共有することが可能になった。これにより、配信したいユーザーのみに広告出稿ができるようになった。将来的に Zホールディングスが持っている各プロダクトのオーディエンスデータも「ビジネスマネージャー」を経由して共有することを見据えている。

「ビジネスマネージャー」のオーディエンス活用概要

クロス分析機能も実装し、より効率的なデータ活用へ

また、よりシームレスなデータ活用に向けた取り組みとして、「ビジネスマネージャー」に「クロス分析機能」も実装予定だという。「LINE公式アカウント」や「LINE広告」だけではなく、トーク画面の上部にターゲットを絞って動画広告を出せる「Talk Head View Custom」や「LINEで応募」などのプロダクトを横断したクロス分析を行い、複数のLINEの施策結果を1つのレポートで可視化できるようにするという。

クロス分析機能も実装予定

LINE・ヤフー・トレジャーデータが目指すZホールディングスとしてのチャレンジ

セッションの後半では、「Zホールディングスグループとしてのチャレンジ」と題して、業務連携を発表したヤフーの森岡氏、トレジャーデータの三浦氏も登壇した。

ヤフー株式会社 マーケティングソリューションズグループ 事業開発室 室長 森岡康一氏/トレジャーデータ株式会社 代表取締役社長 三浦喬氏

ヤフー・LINE データ連携でマーケティングの幅を広げる

LINEとヤフーのデータ領域における連携について、ヤフーの森岡氏は期待していることを次のように語った。

LINEとヤフーのデータ連携は、プライバシー保護・法令遵守など越えなければいけないハードルは多数ありますが、各プロダクトを使っていただくクライアントにとってマーケティングの幅が広がる可能性を秘めています。将来的には両社間のオーディエンス共有も見据えています(ヤフー・森岡氏)

LINEを基軸としたデータ統合・活用 ヤフーとの連携

今後の取り組みについてLINEの宮本氏は、「『ビジネスマネージャー』で、アカウントの認証や、オーディエンスの共有がセキュアにできるようなり、Yahoo!広告にも広がっていく」と説明した。

「ビジネスマネージャー」を通してマーケティングデータを活用するための統合基盤

トレジャーデータ・LINE 「CDP」と「Date Clean Room」でよりセキュアなデータ連携を目指す

トレジャーデータとLINEのデータ領域での業務提携、パートナーシップ締結を5月18日に発表した。今回の業務提携では、「Data Clean Room」や、各種APIとも連携が可能になる。

Data Clean Roomとは、セキュアに保護された環境で、個人識別情報を除去して、個人の特定ができないようにした状態で、統計的な分析に活用できる仕組みを指す。

LINEを基軸としたデータ統合・活用 トレジャーデータとの連携
Data Clean Roomとは

LINEは日本人の約70%以上、およそ9,200万人(月間利用者数、2022年3月時点)以上が使っているコミュニケーションアプリ。Cookieレス時代のマーケティングCRMを行っていく上で、企業にとって極めて重要なプラットフォームだと思います。

お客様のCDPに保管されている顧客データをフルに活用して、LINE上で得られるデータを連携し、プライバシーを配慮したData Clean Roomで詳細な分析が可能になる。この仕組みは非常に大きな意義があると思います(トレジャーデータ・三浦氏)

今回の業務提携ではまず、LINE広告やLINE公式アカウントなどLINEが提供するさまざまなプロダクトとAPI連携していくという。複数のファネルで消費者の連続性を保ちつつ、プロダクトを横断した活用が、トレジャーデータ導入済みの企業では非常に簡単になる。

LINEとトレジャーデータの包括的な連携

Data Clean Roomについても、LINEとトレジャーデータで共同開発を進めて、ポストCookie時代の新しいマーケティングソリューションを提供していく考えだ。

LINEのさまざまなプロダクトを横断した活用が、Online・Offline問わず、フルファネルでコミュニケーションできる環境が整いました(LINE・宮本氏)

フルファネルに配信・分析できるソリューションを開発

セッションの最後に、森岡氏、三浦氏が未来に向けて次のように述べ、講演を締めくくった。

3社が手をとりあうことは、ユニークなこと。だからこそ、唯一といえるものを作っていきたいと思います。そのために、独りよがりではなく、他の2社の皆さんからのアイデアもいただきながら皆さんと一緒にこのデジタルマーケティングの世界をつくっていきたいなと思います(ヤフー・森岡氏)

ソフトバンクグループの延べユーザー数は約3億と言われています。本日、お伝えした内容以外にも、Zホールディングス全体、そしてソフトバンクグループ企業全体とのデータビジネスにおけるシナジーを加速させるためにいろいろ準備しておりますので、こちらも乞うご期待いただければ(トレジャーデータ・三浦氏)

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