デジタル化が進む昨今、データ活用がビジネス推進の鍵となります。本セッションでは、自社が持つ顧客データを収集・統合するためのデータ基盤、CDP(Customer Data Platform)を提供するトレジャーデータ株式会社と、データを活用した事業変革を支援するインキュデータ株式会社の2社が、製薬業界におけるデータ活用について事例を交えて紹介しました。

本記事は2022年10月5日開催「Pharma Marketing Day 2022 presented byデジぽち」のセミナーセッションを記事にしています。内容は当時のものとなりますのでご了承ください。
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登壇者
トレジャーデータ株式会社
マーケティングマネージャー
小林 広紀
 

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【トレンド】製薬業界における今後のデータ活用の姿(1/2)インキュデータ社

 

散在したデータの名寄せで実現する真のマーケティング活動

後半はトレジャーデータ社・小林氏から、 MR営業を支えるTreasure Data CDPについて紹介されました。

Treasure Data CDPは、企業内に散在しているデータから必要なデータを収集し、顧客一人を1IDとして統合することで、今まで顧客データが散在していたが故に可視化が難しかったオンライン上、オフライン上の行動が一気通貫の状態で見られるようになるデータ基盤です。

これにより、一連のジャーニーにおける顧客の行動が可視化され、従来であれば一律同じ内容で配信していたメールキャンペーンなどを コミュニケーションすべきタイミングで配信が出来るようになります。例えば、「この方はもう少しで買いそうだ」というインサイト所が見えてきた時には、特別な値引きのキャンペーンを行うなどが可能です。

また、この方はメールよりSMSを好むからSMSで連絡する、この方の場合は直接コールセンターから電話する…など一人ひとりに適したチャネルで情報を届けることを可能にします。

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2017年にトレジャーデータ社がCDPを提供しはじめた当初は、主に企業のマーケティング活動で活用されることが多かったのですが、昨今、自社の営業活動やカスタマーサクセス、カスタマーサポート、コンタクトセンターといったマーケティング以外の顧客接点における活用ニーズも高まっていると小林氏はいいます。そこで、トレジャーデータ社では、2021年より新たにCDP for Sales、CDP for Serviceのサービス提供を開始しました。

これをきっかけに、企業内の顧客接点を部門を横断して一元管理し、顧客データ活用をさらにドライブさせるプロダクトラインナップとなりました。

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営業活動におけるデータ活用の可能性

ここからはトレジャーデータ社が提供する営業向けのソリューション「CDP for Sales」の紹介と、営業活動において顧客データがどのようなシーンで活用できるかを説明しました。

法人営業が管理すべきデータは、2種類あります。
まず、企業単位のデータ、そして、企業に紐づく個人単位のデータです。

企業単位のものに関しては、決算の情報や中期計画、過去の受注内容、契約情報といったデータがあげられます。

また、企業に紐づく個人、すなわち企業の担当者に関するデータとしては、どのような ウェブページを閲覧しているのか、どのようなセミナーに申し込み、参加しているのか、過去にどのような問い合わせがあったのか、いつどのような商談を行ったのかといったデータがあげられます。これらの企業と個人の情報を、それぞれダッシュボートに分けます。

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そうすることで、ある企業で法人営業担当部門の方が最近頻繁にウェブサイトへ来訪し始めたなど、様々な情報を企業単位、個人単位で把握することが可能になります。企業情報をもとにして中期計画を発表することがわかれば、それに合わせた提案をアウトバウンド型で提案することも可能です。

営業活動に最適なタイミングをはかることに加え、解約の予兆を捉えることも可能だといいます。

「例えば解約に関するFAQを閲覧しているなど、解約の予兆を察知して『何かお困りではないですか?』『このような サービスもありますよ』など 、一歩先の提案を行うような使い方もできるでしょう。」と小林氏は述べました。

 

デジタル化したBtoB営業・マーケティングのプロセス

昨今のコロナ禍により、顧客接点のデジタル化比率はますます上昇し、顧客理解の難易度があがっています。

そのような背景に加え、営業・マーケティング活動には、リードを獲得してからナーチャリング、商談、契約そしてカスタマーサクセス・カスタマーサポートという一連のプロセスがあります。

そのプロセスごとに、部署を分けた「The Model」型を採用する企業も少なく有りません。部署が分かれているために、それぞれの部署がそれぞれのツールを活用していることで、顧客理解はさらに妨げられます。

実際、トレジャーデータにご相談をいただく企業の中でも、「MAならマーケティングが所有し、CRMは営業が所有して、それぞれに閉じられた形で活用され、一人の顧客情報がいくつものツールに分断されて、一人の人として捉えられないという課題を持っている企業が多く見受けられた」といいます。

ここへCDPを入れることによって、お客様が過去にどんなイベントでどんなタッチポイントで流入してきてリードになったのか、過去にどんなメールを開いているのか、どんな資料をダウンロ―ドして商談に至ったのか、また商談の中では営業がどんなヒアリングをしたのか、その後カスタマーサクセスがどいうフォローをしたのかに至るまで、一気通貫で可視化され、高度な顧客理解が可能になります。

また、同じ成約をしたお客様を教師データにして成約の見込みが高い、或いは解約の見込みが高いといったことを機械学習で導き出し、提案の精度を上げていけるのです。

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法人営業の今後の進化に向けて必要となること

法人、製薬企業におけるMR営業の高度化・ 進化に向けて必要なことが示されました。

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お客様=医師の個人単位での行動データ、オンライン、オフラインと、病院や企業単位での外部データ、内部データを取り込みます。そしてウェビナーの視聴状況やオフラインイベントの参加状況、MAやMR 営業が持つ情報が反映されたCRMも CDPでデータ統合し 、医師の状態を一元的に把握できるようダッシュボード化する必要があります。

例えば製薬業界では、医師 の属性記録や学会、セミナーへの来場記録、自社の講演の聴講データ、ウェビナーの申し込みや視聴のデータ、どういった薬剤の情報を閲覧したりダウンロードしているのか、どういったウェブサイトを見ているのか?といったことをMAやCRM、ウェブサイトのログなどから収集し、Treasure Data CDPで統合します。そうするとダッシュボードに、各医師のコンディションや営業対象になる方がどういった情報を欲しているのかが可視化されるのです。 MR営業が必要な情報はダッシュボード一枚で見ることが出来、それに合わせてMRが最適なアクションを最適なタイミングで行うことを可能にします。

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製薬業界のMR営業など、法人営業をデータを活用することで高度化する例をみてきましたが、データを活用するためには名寄せ(顧客データ統合)が欠かせません 。一方でデータのオーナーが異なる弊害やメンテナンスの工数など、様々な障壁が存在するのも事実です 。顧客データ活用によりビジネス価値創出を目指す企業は、Treasure Data CDPなど、実績があり、安心安全に顧客データの管理・運用ができる基盤を検討してはいかがでしょうか。

 

本記事は2022年10月5日開催「Pharma Marketing Day 2022 presented byデジぽち」のセミナーセッションを記事にしています。内容は当時のものとなりますのでご了承ください。
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