リテールメディア「Amazon広告」攻略法 第7回

大手広告プラットフォームが保有する膨大なデータに、企業の顧客データを掛け合わせて分析することでマーケティングに生かす。このような取り組みをプライバシーに配慮しながら実現する「データクリーンルーム」が広がりつつある。米アマゾン・ドット・コムも「アマゾン・マーケティング・クラウド(以下、AMC)」というサービス名で提供する。CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)大手のトレジャーデータ(東京・千代田)は2023年から、国内でもCDPとAMCの連係の強化を始めた。

Amazon版データクリーンルーム「アマゾン・マーケティング・クラウド」の活用が国内でも広がりそうだ
Amazon版データクリーンルーム「アマゾン・マーケティング・クラウド」の活用が国内でも広がりそうだ

 米国の大手菓子メーカーはチョコレートブランドのWebサイトで集めた会員向けに、ECサイト「Amazon.com」の大型セールで実施したキャンペーン情報をメールで告知した。すると、過去に自社ECサイトで購買履歴がない層ほど、Amazonのキャンペーンでの購買金額は高い傾向にあることが分かった――。

 通常、広告主は自社会員が外部のECサイトでどのような商品をいくら買っているかといった分析はできない。この菓子メーカーはなぜ自社の会員がAmazonで購買した金額まで、詳細に分析できたのか。それは、アマゾンが提供するAMCというデータ分析基盤を活用しているからだ。

 AMCはデータクリーンルームと呼ばれるサービスの一種。データクリーンルームは、広告プラットフォームの保有するデータと広告主のデータの統合的な分析を可能にする。統合的な分析といっても、個人情報を直接的に扱うわけではない。メールアドレスを暗号化するなど、匿名化の処理を施したうえで、プラットフォーマーが提供するセキュリティーが担保された分析基盤にアップロードする。それにより、広告プラットフォームのデータを使った顧客分析などが可能になる。

 米グーグル、米メタ(旧フェイスブック)、国内ではヤフーがこのデータクリーンルームを提供している。AMCを使うと、広告主の顧客の購買傾向などを、Amazonのデータを用いて分析できるようになる。この仕組みを使うことで、自社の会員がAmazonでどのような購買行動をしているのかを分析可能になるわけだ。

クッキーの代替手段として高まる注目度

 サード・パーティー・クッキーの規制が進み、従来のクッキーをベースに広告主と第三者のデータを付き合わせて分析するといった手法が難しくなっている。その代替手段として、広告主の保有するファースト・パーティー・データと、プラットフォーマーが保有するファースト・パーティー・データを持ち寄り分析する、新たな手段として、データクリーンルームの注目度が高まっている。

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