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「為せば成る」日本人の成功モデルを世界へ示す

公開日 2025/06/06
――経歴を教えてください

理系の大学を卒業して、内資のソフトウェア会社に就職し、9年働きました。その間に、ソフトウェア開発から、プロジェクトマネージメント、コンサルティング、そして営業で売上を立てるまで、ソフトウェアの分野で大体のことはできる自信がついていました。

しかし、ある先輩の一言が私の意識を変えたのです。

「三浦はITしかできない。英語とファイナンスができないとダメだ」と。

そんな折、出張したシリコンバレーで、トレジャーデータ現会長の芳川裕誠と出会います。芳川は当時、三井物産の投資担当として、米国でベンチャーキャピタルを運営していました。「IT、英語、ファイナンス」を高いレベルで実践している芳川を見て、「こんな人がいるのか!」と衝撃を受けたことを覚えています。

直後に芳川は、現CEOの太田一樹、チーフアーキテクトの古橋貞之とともに、シリコンバレーでトレジャーデータを創業します。縁があり、私も2014年に日本の営業として参画しました。

日本のGDPは、2023年に中国に抜かれて世界第4位に後退しました。世界シェアも最盛期の約17.7%から現在は4%を切るまでに低下しています。日本市場だけでビジネスをしていても、成長には限界があります。当時、先輩が私に、「グローバルな舞台で、金融リソースも最大限活用して、スケールの大きいビジネスをすべきだ」とアドバイスしてくれた真意はそこにあったのでしょう。

幸いトレジャーデータでの経験は、そんな先輩の言葉を実践する絶好の機会となりました。世界中に居る同僚やパートナーとは英語で話しますし、会社が資金調達を繰り返して成長する中で、ファイナンスを学ぶ機会にも恵まれました。20代に高い視座の重要性を学び、30代で実践し、そして、40代で経営の視点で仕事をさせていただいています。多くの方々のご指導とご支援のおかげで、充実したキャリアを歩むことができていると感じています。

――トレジャーデータは、日本人がシリコンバレーで創業したという、ユニークなグローバル企業です。他の外資系企業と比較して、どんな特徴を持っていると感じますか?

一般的な米国のソフトウェア企業の多くは、まず米国内で商品やサービスを拡大し、それを他の地域に展開して、売上の最大化を目指します。米国市場向けに作られたプロダクトを、各国語に翻訳して販売していく、いわば、「ハリウッド映画型」のアプローチです。

一方で、トレジャーデータはシリコンバレーで創業しながらも、米国と日本の両市場を同時に拡大してきました。むしろ、日本市場の拡大のほうが先行しており、現在でも売上の約半分を日本が占めています。
実は、この特性は海外での展開にも、大きな強みとなっています。一般に、日本の商品は品質が高く、お客様も繊細なサービスを受けることに慣れています。Treasure Data CDPは、そうした日本企業の厳しい顧客に応える形で設計されており、その品質の高さが海外のお客様からも高く評価されています。これはちょうど、日本の質の高い食文化や「おもてなし」を求めて、多くの外国人旅行者が訪れるのに似ているかもしれません。

トレジャーデータでは米国本社を含めた全員が、「日本のお客様としっかり向き合うことが、グローバル展開の基盤になる」と考えています。だからこそ、日本法人のやり方を尊重し、大切にしようという意識が強いのです。
「本社の決めた方針をそのまま実行するだけ」といった、ありがちな外資系企業のスタイルとは大きく異なり、日本初の価値を積極的に活かそうとするカルチャーがあります。Treasure Data CDPというプロダクトを通して、日本ならではの高い要求水準に応えた製品やサービス品質を強みに、世界で勝負できる、それこそが、トレジャーデータで働く醍醐味の一つです。

――一緒に働く社員にどんなことを求めますか? また、社員はトレジャーデータから何を得られるでしょうか?

トレジャーデータが定めるPrincipals(原則)の1番に、「Customer is Never Wrong」があります。直訳すれば、「お客様は決して間違えない」という意味です。
まずはお客様のところへ行って話を聞く。お客様は売上を上げたいのか、コストを下げたいのか、そのための課題はどこにあるのか。私たちができることを、徹底的に突き詰めるのが、トレジャーデータのコアだと思っています。

CDPは、非常に多様なユースケースが想定されるプロダクトです。適切なコンサルティングを提供するため、お客様が必要とすることを理解しようとする姿勢は、当社の社員に求められる重要な素養の一つと言えます。

一方、距離が近い分、社員はお客様から多くを学ぶことができます。

私がトレジャーデータに入社して以来、テクノロジーはめまぐるしく変化してきました。昨今では、データや生成AIはなくてはならない技術となり、私たちは企業の次世代を担う多くのプロジェクトに直接関わっています。
Treasure Data CDPを一部門で導入し、成功したモデルが他部門でも採用され、全社展開・グローバル展開されることも少なくありません。そんなシーンに立ち会えることは、大変な喜びであり、ビジネスパーソンとしては貴重な体験になるはずです。

キャリアパスとしては、私のように一つの職務で経験を積みながら、職位を上げていく「縦軸」の成長だけではありません。興味や適正に応じて、他の職務にチャレンジする「横軸」の成長に挑戦することも可能です。実際、日本から海外のオフィスに移り活躍している社員もおり、グローバルな環境でのキャリア形成も視野に入れることができます。
今後もグローバルで事業を拡大していくため、さまざまな専門性を持った社員を求めています。多様なキャリアを描けることは、トレジャーデータで働く大きなメリットだと感じます。

――仕事のなかで喜びを感じるのはどんなときですか?

私は入社以来、40回以上の四半期決算を経験してきましたが、今でも毎回緊張します。結局、ビジネスの世界では結果がすべて。どれだけ努力し、工夫したとしても、数字で証明できなければ、言い訳にしかなりません。だからこそ、四半期の目標を達成できたときには、何よりの喜びを感じます。

一方で、人は社会的動物なのだと、改めて実感します。特に私は、仲間と何かに取り組むことが、本当に好きなんです。

目標と現状にギャップがあれば、その理由を分析して仮説を立てて、原因を導き出し、チームで共有しながら実行していく。それでもうまくいかなければ、やり方を変えてまた挑戦する。そのプロセスが楽しいんです。
数字は、そうした仲間との積み重ねの証だと思っています。だからこそ、成果として数字に現れる瞬間が、何よりもうれしいのです。

好きな言葉は「為せば成る、成さねばならぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」。

諦めが悪いとも言えます(笑)。でも、これまでどんな難しい挑戦でも、仲間と一緒に諦めずに試行錯誤を続けたことで、うまくいかなかった経験がほとんどないのです。だから、将来の高い目標も、「実現できる」と思っています。

――個人的な将来の展望を教えてください

1980年代は、ソニーのウォークマンや任天堂のファミリーコンピューター、1990年代にはトヨタのプリウスなど、かつては日本を代表するハードウェアが、次々とつくられてきました。しかし、21世紀に入りソフトウェアの時代になると、日本の産業が世界で勝てなくなってきました。

日本には優れたエンジニアが数多くいますし、先ほど言ったように、緻密に品質を追求するための下地もあります。かつて、日本の企業がハードウェアでやったことを、ソフトウェアでも実現できるはずです。

私たちの当面の目標は、米国市場での上場です。日本人がつくったBtoBソフトウェア企業としてはまだ前例がありませんが、私たちがその道を切り開き、成功モデルを示すことで、あとに続く企業や人材が増えていくことを願っています。
メジャーリーグでは、野茂英雄さんが先駆者として活躍したことで、その後イチローさんや松井秀喜さん、そして現在の大谷翔平さんへと道が続きました。ソフトウェアの世界で、そうした先駆けのような存在になれれば光栄です。

前述の「成功モデル」とは、日本人であることの強みを活かして、お客様に真摯に向き合い、そこからグローバルへビジネスを拡大していくことだと考えています。個人的には、そうした志を共有できる仲間と長く一緒に働けることが何よりの喜びです。
もちろん、人それぞれのステージによって、仕事に求めることは変わります。転職や起業でチームを離れる仲間もいますが、寂しさを感じつつも、同じ志を持ち続けている人とは、場所が変わってもずっと仲間だと思っています。
最近では、一度トレジャーデータを離れた仲間が、再び成長した姿で戻ってきてくれるケースも増えています。私たち自身も常に成長し続け、その成果で仲間に応えられる存在でありたいと考えています。

トレジャーデータでは仲間を募集しています