CDPの自社開発と外部ツールを利用する場合の比較

Facebookなどの巨大プラットフォームがプライバシーに関する配慮を余儀なくされ、マーケターが3rd Party Cookieの廃止に身構える中、ブランドは、自社で保有する1st Party Dataに基づいた顧客とのつながりを築くことが今や不可欠です。データの収集や管理に関する新しい、かつ今後想定される制限により、ブランドは顧客と、直接的で信頼できる関係を築くことが求められます。

カスタマーデータプラットフォーム(CDP)は企業にとって、嗜好や意図の把握といった顧客に関するリアルなインサイトを得るための、基本的なツールになりました。当社がAdvertiser Perceptions社と共同で発表した調査レポートによると、75%の広告主が日々の業務でCDPを利用していることが実際にわかりました。

この調査レポートは、CDPを使用しているマーケティングテクノロジーの意思決定者100人を対象とした調査に基づき、CDPが現在どのように価値を生み出しているか、また近い将来、意思決定者がCDPからより大きな価値を得ることをどう期待しているかを探っています。なお、当ブログ記事に含まれるデータの一部は、最終報告書に含まれていなかった調査データを根拠にしています。

CDPを自社構築するか、もしくは外部ツールを利用するかという判断は、その言葉以上に難しいものです。組織は、自社に最も適したアプローチを決定する際に、多くの要素を考慮しなければなりません。どちらにもメリットとデメリットがあるため、どのソリューションがビジネスにとって最適かを決定するのに時間を要することもあるでしょう。当記事では、CDPの価値について詳しく説明し、ツール導入と自社構築のどちらがより良い選択肢となり得るかについて説明します。

企業がCDP自社構築を検討する理由

CDPを自社構築することは、収集・処理する顧客データをよりコントロールしたいと考える企業にとって魅力的かもしれません。例えば、企業は自社のニーズに合わせてデータ基盤をカスタマイズし、どのデータソースを含め、データをどのように組み合わせるかを決定し、設計することができると考えます。

しかし、これは組織が顧客データを正しく理解し、データを取り込むために必要なリソースへ投資する必要があることを意味しています。カスタムソリューションを開発できるエンジニア、データベース開発者、データサイエンティストチームの組成が、このプロジェクトに含有されることを認識しなければなりません。

CDPの構築には、メンテナンスとアップデートが必要です。データ基盤を常にモダンに保ち、新しいデータソースに対応するためには、継続的な投資が求められます。

CDPを自社構築する際の潜在的なデメリット

CDPの設計・開発・運用には時間とコストがかかります。そもそも、そのタスクに多大なリソースを割いている組織でない限り、追加で専任担当者を雇用しなければならないケースもあるでしょう。コストが大幅に膨らむ可能性があります。

さらに、自社でプラットフォームを構築するリスクも考慮せねばなりません。システムの構築やメンテナンスでミスがあれば、データ漏洩などの損害が生じ、その損害は多岐に及ぶ、計り知れないものとなります。

CDPは、既存のマーケティングスタックと統合できなければなりませんが、プラットフォームがカスタムビルドの場合は困難です。互換性の問題が発生し、コスト増と時間の遅れが生じるリスクがあります。

自社開発のCDPでもデータ結合は可能ですが、マーケティングの運用上不都合が生じる場合があります。属性を調整し、新しいシステムを接続しようとするたびにIT部門を経由しなければならず、プロセスが停滞することになります。CDPがデジタルマーケティングにおける成功の核心となるどころか、さらなる進歩を妨げるボトルネックとなってしまうのです。

作るか、買うか:その理由

外部CDPツールを購入し利用することは、単なるソフトウェアの購入以上の意味を持つはずです。価値を最大化し、競争力を維持するために、投資の成果をどれだけ早く実感できるか、そしてそのTOC(総所有コスト)に注目してみるべきです。

CDPは、既存のテクノロジーやインフラの上に構築されたソリューションを企業に提供することで、企業が既存のデータソースを迅速かつ容易に統合し、それらのインサイトを活用して効率を高めることができます。

外部ベンダーからCDPのライセンスを取得している企業の80%はこのように考えています。広告主の認識に関する調査研究でインタビューした、マーケティングテクノロジーの意思決定者による言葉です。

我々はCDPを構築する野心は持っていません。構築には適切な人材を確保するために投資する必要があります。
スマートに行動すべきです。
既存の企業とシナジー効果を見出せるなら、わざわざCDPを再発明する意味はありません。

-Director, Strategy + Transformation (CE)

追記すると、CDPツールを購入し、導入するのであれば、ソフトウェアのメンテナンスやバグ修正に関して追加リソースを継続的に投資する必要はありません。そのため、長期的に企業のコストを削減することができます。52%の企業がCDP構築のコストが高いことについて言及しています。コストが重要な決定要因であることは明らかです。

ベンダーから提供されるプラットフォームを利用することで、企業は固定された価格またはサブスクリプション費用を支払うことで、ツールを有効化できます。ゼロから構築するよりも費用対効果が高まる場合があります。ソフトウェアを購入する場合、その性質上初期費用がかかりますが、それでも長期的に見れば良い投資となります。また、自社構築と比較してツール利用は初期費用がかさむという懸念も以前にはありましたが、現在ではそれも払拭されています。

CDP導入に対する恐怖心

実装や統合に関する不安から、CDPを導入することを躊躇する組織もあるかもしれません。こういった懸念は、複雑な導入プロセスから、求めるサポートが得られるかといったことまで多岐に渡ります。Advertiser Perceptionsの調査報告書の結果にもその懸念が表れています。

  • インタビューした組織の半数以上が、実装の複雑さによる課題を経験した
  • 5人に2人がデータ統合に問題を抱えていた
  • 社内リソースや知見不足も一因

図. Advertiser Perceptions, 2022年

図に示されているように、CDPベンダーからのサポート不足は、導入に関する課題の上位にあります。しかし、適切なベンダーと専門チームを選択すれば、全プロセスを通じて、企業は安心してプロジェクトを任せることができます。CDPの導入に実績のあるパートナーと緊密に連携することで、正しい軌道に乗り、成功への準備を整えることができるのです。以下は、Advertiser Perceptionsが調査の一環として行ったインタビューからの引用です。

当社はグローバルブランドを複数展開しているため、(CDPの)自社構築を考えたことは1秒もありません。私たちはメディアやマーケティングの専門知識、ブランドや代理店の知識は持っていますが、技術的な観点から、ベストインブリードのソリューションに頼るべきでしょう。

-プレシジョン・マーケティング・リード(CPG)

CDPベンダーは、CDP導入のベストプラクティスに関する深い専門知識を有している前提で、組織が迅速かつ効率的に既存のシステムとプラットフォームを統合できるよう支援しなければなりません。導入プロセスが可能な限りスムーズになることを保証する必要があるのです。

CDPツールを利用するメリットは、CDPを自社構築して削減できるコストをはるかに上回ります。正しい手法のもとで実施すれば、既製CDPツールの導入は、企業の複雑なシステムを軽減し、スケーラビリティとパフォーマンスを向上させながら、成果の結実までの時間を短縮することもできるでしょう。

トレジャーデータにお任せください

様々なコンポーネントを組み立ててCDPを構築し、データウェアハウスに統合するというコンセプト、「コンポーザルCDP」や「アンバンドルCDP」が議論されています。しかし、現行で先進的なCDP(Treasure Data Customer Data Cloudを含む)に関しては、それらコンポーザブルCDPと比較するものではないと考えられます。コンポーザブルCDPとトレジャーデータのような先進的なCDPが明確に異なる点として、後者は強固なデータフレームワークの上に構築されます。データウェアハウスを使用する利点と統合されたソリューションで、最大化した価値を提供します。

CDPでトップシェアであるトレジャーデータは、企業がデータのサイロ化を解消し、複数のソースやチャネルにまたがる顧客データを統合します。そこから導かれる顧客インサイトを活用し、パーソナライズされた体験を実現する、エンドツーエンドのプラットフォームを提供しています。

統合型か、コンポーザブルか。どちらが自社に適しているか、判断材料として、CDP協会が発行したホワイトペーパーをダウンロードいただけます。また、CDP協会がAdvertiser Perceptionsと共同で発行した調査レポート「CDPバリューチェーン:基本的な使用法からビジネストランスフォーメーションへ」もご用意しています。ぜひご覧いただき、ビジネスの成長にご活用ください。

ケリー・デ・レオン
トレジャーデータのコンテンツマーケティング担当シニアディレクター。マーケター、ライター、スピーカーとして、顧客に適切で価値ある体験を提供し、ビジネスの成長を促進することに情熱を傾けている。

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