カスタマージャーニーを最適化する
ネクストベストアクション戦略とは?
カスタマージャーニーを最適化するには、あらゆるチャネルからデータを収集し、セカンド、サードパーティデータを統合して顧客データをリッチにしなければならないと考えられています。しかし、データを持っているだけで、ネクストベストアクション(Next-Best Action)の戦略がなければ、マーケティングは成功しません。
顧客データのポテンシャルを最大限に引き出すには、ネクストベストアクション戦略が不可欠です。CDPの機械学習をネクストベストアクション戦略に適用することで、マーケティングプラン全体が一変します。まずは、顧客インサイトのリッチ化と、それだけでは不十分である理由を詳しく見てみましょう。
顧客インサイトのリッチ化
企業は、顧客データから、顧客の行動に関して貴重なインサイトを得ることができます。データ収集は通常、企業のウェブサイト、実店舗、モバイルアプリなど、ファーストパーティデータが中心です。購入履歴や類似の行動情報と組み合わせることで、顧客プロファイルが浮かび上がってきます。
また、外部からのデータを使うことで、以下のような情報が加わり、顧客プロファイルの解像度が高まります。
顧客インサイトのリッチ化は、ファーストパーティデータに基づき構築したされたプロファイルの骨格に肉付けするようなものです。リッチ化された顧客プロファイルを使用して、より効果的なキャンペーンや営業活動を設計することができます。
リッチな顧客インサイトのみでは不十分な理由
カスタマージャーニーの最適化を重視する企業では、データ収集そのものがゴールではありません。顧客インサイトを充実させても、企業が顧客とつながりを持てないのは、なぜでしょうか?
すべての情報が有用であるとは限らない
さまざまな顧客接点から得られるすべてのデータが、コンバージョンやマーケティングに役立つわけではありません。例えば、購入履歴のページからは、顧客がカートを離脱した理由を知ることはできません。プロファイルの属性情報がリッチ化されても、ロイヤルカスタマーの退会理由を説明することはできません。ウェブサイトの訪問者が商品ページを閲覧していても、購入するかどうかはわからず、購入の最終段階で、割引を求めるかもしれません。このような話は、無数のチャネルと顧客接点で日々繰り広げられています。顧客を十分に理解しなければ、企業は顧客データから何のメリットも得られません。
過剰なデータは実行プロセスを停滞させる
セカンド、サードパーティのデータでリッチ化を行っている企業は、顧客プロファイルを継続的に更新する必要があります。タイムリーかつ自動的に更新されなければ、企業は、有用な顧客インサイトに基づいて、アクションを取る機会を失うかもしれません。特に、データが事業部門ごとにサイロ化されている場合は注意が必要です。
マーケティングチームがキャンペーンや施策を考える前に、IT部門はまずデータをクリーニングし、分析のための準備をしなければなりません。キャンペーン対象者は、値上げ、インフルエンサーのブログ、当日の天候など、さまざまな要因に影響を受けます。
顧客インサイトが自動的にリッチ化されていても、企業は大量のデータに対処できないケースがあります。分析で停滞する典型的なケースです。情報が多すぎると、意思決定が遅くなり、判断も遅れます。企業は、情報を素早く理解し、行動を予測し、タイムリーに対応する方法を必要としています。
ネクストベストアクションが勝負を決める
チェスのゲームに勝つ方法はただひとつ。それは、回数を重ねて必勝の一手を見つけることです。チェス界の最強の称号であるグランドマスターは、その直感を磨くために多くの時間と努力を費やします。しかし、高度なコンピュータは、何百万もの可能性を分析しネクストベストアクション(NBA)を見い出すといった、人間が長時間の訓練で達成することを、瞬時に実現します。
カスタマージャーニーの最適化も原理は同じです。NBAを見つけることで、企業やマーケターは、カスタマージャーニーに沿って効果的に顧客を誘導することができます。NBA戦略とは、大量のデータに基づいて顧客のインサイトを導き出し、行動を予測し、優れた提案を顧客に行うことです。
CDPがネクストベストアクション戦略を推進する
CDPは、ネクストベストアクション戦略の鍵を握ります。一つづつ、そのプロセスを見ていきましょう。
CDPは、オムニチャネルのデータ収集と顧客インサイトのリッチ化を得意としています。散らばった情報を統合して顧客の包括的なプロファイルを作成し、集中管理することで、データのサイロ化を解消。IT、マーケティング、セールス、カスタマーサポートをはじめ、あらゆるチームで活用できる顧客データ基盤を構築します。
CDPは、AIと機械学習を活用して顧客の行動を分析し、パターンを見つけることで、動的ににオーディエンスをセグメンテーションし、行動や好みが近い顧客をグループ化します。これにより、CDPはより正確な予測の下、顧客プロファイルの再現や複製を行うことができます。
さらにCDPは、マーケティングキャンペーンの分析にも活用できます。例えば、景品と引き換えにポップアップで表示されたアンケートに参加した顧客が、ポイント付与のオファーには無反応だった場合、CDPは過去の顧客の行動に基づいて、顧客がいつ、どのチャネルでポジティブな反応を示すかを提案します。個々の顧客プロファイルでは、ポジティブなやり取りが行われているチャネルに高い傾向スコアが付与されます。
機械学習アルゴリズムは、傾向モデリングを用いて、マーケターが見落としがちな顧客インサイトを明らかにします。このプロセスでは、企業が顧客に期待する行動と関連性の高い、より広範なデータを取得します。マーケターは適切な場所とタイミングで、顧客をターゲティングできます。
顧客の実行動に基づくネクストベストアクション
深い分析や顧客インサイトに基づいたレコメンドが可能なCDPを使わない場合、企業は一般的に以下のようなアクションを取るでしょう。
- パーソナライズされた広告のターゲティング
- 割引クーポンの提供
- ロイヤリティプログラムへの招待
- メール、SMS、アプリへのメッセージ送信
- 過去の購入履歴に基づくレコメンド
- ウェブ検索に基づく製品のレコメンド
- サービスや特典によるアップセル
このような一般的なマーケティングアクションは、多大な労力とコストを必要としますが、その結果は不確実です。
企業はさらに踏み込んで、以下のような、顧客がこうしたらこうする(If-Then)というシナリオに基づいてアクションを取るレコメンドシステムを作るでしょう。
If | Then |
初回購入 | リピート購入に対して特典を提供する |
高価格帯の商品を閲覧する | 支払いの選択肢を提供する(後払い、分割払い等) |
企業Webサイトで長文コンテンツを読む | メールマガジン購読をレコメンド |
特定の製品モデルを検索する | パーソナライズされた広告でターゲティング |
商品をカートに入れたまま離脱する | 商品に対して期間限定の割引クーポンを送信する |
顧客がマーケティングファネルのどこかを気にせず、すべての人に同じメッセージを発信するようなマーケティング戦略と比べれば、これでもよいかもしれません。しかし、ルールベースのレコメンドシステムは、既知のシナリオに基づくため、予期せぬ状況に適応することも、微妙な行動を解釈することもできません。新しいルールやシナリオを手動で追加しても、日々変化するカスタマージャーニーへはほとんど対応できません。
機械学習によるネクストベストアクション(NBA)戦略は、顧客の行動と特定のチャネルや接点でのやり取りの傾向に基づいた確率的モデルを使用します。つまり、このモデルは、発生した顧客の行動から学習し、成功する確率が最も高いNBAを提案するのです。
シナリオ | アクションの選択肢 |
ウェブサイト上で商品ページを何度も閲覧しているが、購入に至らない | ウェブサイト上で商品の比較を提案する |
モバイルアプリで期間限定の15%割引クーポンを付与する | |
紹介特典のメールを送信する |
Treasure Data CDPのような先進的なCDPは、この2つのモデルを使い分け、的確なマーケティング戦略を実行します。具体的には、決定論的ルールと、確率論的なネクストベストアクションセグメントを組み合わせ、戦略的なタイミングとチャネルで顧客をターゲティングします。
ネクストベストアクションの事例
調査会社Advertiser Perceptionsのレポート「The State of CDPs: Data Unification, Activation and Compliance」において、マーケターの40%がネクストベストアクションとして、CDPを利用すること、また、望ましい事例としてレコメンドエンジンを挙げています。
企業はネクストベストアクション(NBA)戦略を用いることで、マーケティング、営業、カスタマーサービスの日々の取り組みを、顧客獲得と維持を目的とした意図的な出会いにつなげることができるのです。
マーケティング
調査会社Advertiser Perceptionsによると、調査対象企業の63%は、デジタルキャンペーンのパーソナライズと顧客プロファイルの統合と運用にCDPを使用しています。
企業は、一般的なマーケティング活動を見直し、最小限の労力とコストで最大の効果を得ることができます。NBAレコメンドエンジンは、デジタルキャンペーンを高度にパーソナライズし、顧客が適切なチャネルとタイミングで、適切なメッセージを受け取る仕組みを整えます。
営業
調査会社Advertiser Perceptionsによると、調査対象企業の50%は、CDPを使用して営業のアプローチやコミュニケーションに関してターゲティングを強化しています。
営業部門は、購買する確率の低い見込み客を追いかけるのではなく、確率の高いオーディエンスセグメントへのアプローチに注力することができます。また、NBAのレコメンドエンジンは、質の高い見込み客に対応し、コミュニケーションを始めるための最適なタッチポイントをピンポイントで特定できます。
カスタマーサービス
調査会社Advertiser Perceptionsによると、調査対象企業の41%は、対面またはコールセンターでのサービス向上のためにCDPを使用しています。
NBAレコメンドエンジンは、顧客対応をたらい回しにすることなく、通話が始まったタイミングから顧客のニーズに応じて適切な担当者につなぐことができます。また、CDPにより、カスタマーサービス担当者は、顧客が既に行った手順を繰り返さないように支援することも可能です。NBA戦略は、カスタマーサービスとのやり取りを通じて、売上を増やす手助けします。
トレジャーデータで最適な一手を打つ
Treasure Data CDPは、ブランドチャネル、企業システム、部門を横断した顧客アプローチを強化します。トレジャーデータのプラットフォームは、AIと機械学習による予測で顧客をセグメンテーションし、適切な場所とタイミングでネクストベストアクションを提案します。
どんなアクションを取るのか(What)
個々の顧客に対して、次にどのようなアクションを行えばよいのでしょうか。例えば、カートに商品を追加したものの購入に至らなかった場合、トレジャーデータのNBAレコメンドエンジンは、その買いそうな顧客に対して積極的なリターゲティングを提案します。
どのチャネルを使うのか(Where)
特定の顧客をターゲットにするには、どのチャネルが最適でしょうか? トレジャーデータは、NBA(What)を実行するために、最も効果的なマーケティングチャネル(Where)を決定します。
どのタイミングか?(When)
顧客をターゲティングするのに、最適な時間帯はいつでしょうか? NBAのレコメンドエンジンは、毎日、早朝、正午、午後、夜間などの時間帯ごとに、顧客をスコアリングし、最適なタイミングを決定します。
顧客インサイトのリッチ化に加え、ネクストベストアクション戦略で顧客データを最大限に活用する方法について、質問があれば、トレジャーデータへお問い合わせください。