小売企業が
カスタマージャーニーを活用して
売上向上を実現する方法

昨今、カスタマージャーニーは、モバイルやウェブサイト等のオンライン、店舗等のオフラインといった複数のタッチポイント(顧客接点)を横断し、複雑化、かつ多次元化しています。ブランドの強さや企業と顧客の距離感にもよりますが、小売企業ではコンバージョンを獲得、すなわち顧客が購買に至るまでに何十回もの顧客とのコミュニケーションが発生することがあります。ここでは「タッチポイント」に注目し、小売企業が売上向上にカスタマージャーニーをどう活用できるかをご紹介します。

カスタマージャーニー上でのタッチポイント(顧客接点)とは?

ブランドと顧客のコミュニケーションは1回限りのイベントではありません。タッチポイントとは、上記4つのそれぞれの段階でブランドと顧客が接触する「接点」を指します。顧客はブランドが提供するタッチポイントだけで接触するわけではなく、ブランドが認識していない多種多様な接点で企業と接触しています。

カスタマージャーニーとは?

カスタマージャーニーとは、ブランドと顧客の間における体験を一つの「道筋」 ・「旅(ジャーニー)」と考えるものです。カスタマージャーニーは、一回の事象に焦点を当てるのではなく、ブランドと顧客との全期間の関係を表します。大きく分けて、認知、購入前、購入(購入に至らないこともあります)、さらには購入後という4段階で構成されます。

小売企業は、顧客データとそこから得られるカスタマーインサイトを武器に、多様なタッチポイントで様々なビジネス上の成果を上げることができます。小売企業におけるカスタマージャーニー上のタッチポイントとして、以下のような例が挙げられます。

  1. コーポレートサイト
  2. チャットボット
  3. Eコマース
  4. サブスクリプション
  5. 検索
  6. ボイスコマース
  7. モバイルサイト
  8. モバイルアプリ
  9. ソーシャルメディア
  10. Eメール
  11. 店頭オファー
  12. 販売スタッフや営業担当
  13. カスタマーサービス
  14. ロイヤルティプログラム
  15. 製品

では、これらのタッチポイントがどのように小売企業の売上向上に貢献するのか、個別に見ていきましょう。

コーポレートサイト

icon-website今日のコーポレートサイトは、企業にとっての「顔」です。信頼できるブランドについて知り、購入し、良好な関係を築きたいと考えている消費者にとって、信頼の証となるものです。顧客視点で作られた小売企業のWebサイトには大きな利益を生み出す可能性があります。しかし、顧客に支持されるWebサイトであるためには、適切な情報が用意された製品ページ、FAQの充実に加え、優れたUI、社会的責任への明確なコミットメントなど、多くが求められます。

また、Webサイトは、ユーザーのニーズを先取りするだけでなく、他の顧客接点にユーザーを適切に誘導しなければなりません。店舗の営業時間や連絡先だけでなく、SNSへのリンクもすぐに目に付くような場所に設置にすべきでしょう。顧客が近隣の店舗を見つけやすいように、地図の配置も検討すべきです。また、顧客一人ひとりに関連性の高いコンテンツを掲載するなど、Webサイトの可能性を最大限に引き出すことが重要です。

チャットボット

icon-chatbotsライブチャットサポートと並んで、今やチャットボットは小売企業の会話型コマースに対する有効な手段となっています。チャットボットは、ブランドのWebサイト、または Facebook Messenger やTwitter、LINEなどのメッセージアプリと統合できます。問い合わせを行った顧客に商品やサービスを勧めるだけでなく、商品検索、実店舗の検索、注文の受付などにも役立ちます。

Eコマース

icon-e-commerceEコマースサイト(ECサイト)は、可能な限り顧客視点で構築する必要があります。多くの小売企業は、数マイクロ秒単位での読み込み時間の短縮、決済プロセスの合理化、よりユーザーフレンドリーなWebサイトへの更新など、ECサイトを改善する方法を常に探しています。

例えば、小売企業がレコメンドツールを導入することで、機械学習を用いた精度の高いレコメンデーションをECサイトに取り入れることができます。このように、顧客の背中を押し、購買へ誘導するために重要となるタッチポイントを適切に調整することで、後続のカスタマージャーニーを最適化することができます。

サブスクリプション(定期購入)

icon-online-subscriptionsサブスクリプションは、価値ある製品の定期的な提供を通じて顧客ロイヤルティを大きく高めることができ、高いライフタイムバリューが見込まれるタッチポイントです。小売企業はサブスクリプションから多くのメリットを享受できるでしょう。サブスクリプションと、VIPプログラムやメンバーシップのステージとを巧みに組み合わせて、さらに売り上げを伸ばすこともできます。

検索

icon-searchesインターネット検索は、小売企業のカスタマージャーニーにおいて、今も主要な接点の一つであり続けています。小売企業は、検索エンジン最適化(SEO)とリスティング広告など、頻繁に顧客が接触するタッチポイントを最適化する必要があります。どちらの戦略も、ブランドコンテンツや有料広告を、検索結果ランキングの上位に表示させることを目的としています。

ボイスコマース(VC)

icon-voice-commerceボイスコマースも、小売企業にとって無視できないタッチポイントのひとつとなっています。Alexa、Cortana、Siri、Google Assistantといった音声アシスタントは、世界中で家庭に浸透しつつあります。統計によると、2021年には米国だけでも4,520万人の消費者が音声アシスタントを使用してオンラインショッピングを行っています。2018年から120%の成長率を示しています。

カスタマージャーニーオーケストレーションの観点から、小売企業はボイスコマース機能をいかに活用していくか検討する必要があるでしょう。

モバイルサイト

icon-mobile-website特にECサイト・ネットショップは、モバイルでの閲覧・使用に最適化されている必要があります。IoT機器にもディスプレイが搭載されている昨今、モバイルに最適化されたサイトを提供することは、顧客との新しいコミュニケーションに備える有効な方法です。

また、モバイルサイトはチェックアウト(顧客が購入を確定し、支払いを完了させること)や非接触型(コンタクトレス)決済など、コンバージョンプロセスのテストにも適しており、超デジタル化社会でブランドの差別化要因ともなります。

モバイルアプリ

icon-mobile-appsモバイルアプリは、店頭での販促キャンペーンや割引と組み合わせて活用するのが効果的です。アプリに紐づく位置情報や、機械学習にもとづいたレコメンデーションによって、より高い効果をもたらす顧客接点へとレベルアップさせることができます。

また、モバイルアプリは、ロイヤルティプログラムやリワードプログラムの提供にも最適です。ターゲットを絞った広告、通知、コンテンツを、いつでもどこでも消費者に届けられるの利点もあります。

ソーシャルメディア

icon-social-mediaソーシャルメディアは、ブランドと顧客を、顧客にとって最も楽しくクリエイティブな方法で結びつけられる可能性を秘めています。小売企業はソーシャルメディアを利用して、ウォッチパーティーやデジタルイベントの開催、ゲームやコンテストへの招待、プロモーションや割引オファーなどを行い、ロイヤルカスタマーや見込み客との関係を維持できます。

また小売企業は、オンラインとオフラインの両方で売上を向上させる幅広い戦略の一環として、ソーシャルメディアからのオーディエンスインサイトを利用できます。

Eメール

icon-emailsソーシャルメディア、ボイスコマース、チャットボットといった顧客タッチポイントに比べると新鮮味はないかもしれませんが、Eメールは顧客にアプローチするための確実で効果的な方法であることに変わりはありません。

データとデータから得られるカスタマーインサイトを活用すれば小売企業はより洗練させたメールキャンペーンを行うことができます。メールはカスタマージャーニー上で一人ひとりに適切なメッセージを提供できる重要なコミュニケーションチャネルです。メールでは、ターゲット広告、特別なプロモーションやオファー、ロイヤルティプログラム、リワードプログラム、会社の最新情報、アンケート、フォローアップのレコメンドなど、多様なコンテンツを配信できます。

店頭オファー

icon-instore-offersモバイルアプリやECでのオファー、ブランドWebサイトで展開するプロモーションなど、複数のタッチポイントを組み合わせて使用することで、店頭でのオファーの効果はより高められます。カスタマーインサイトと予測分析を使えば、デジタル施策と組み合わせた展開も可能です。

例えば、化粧品であれば、顧客が特定のアイテムを購入した日に同じラインの別アイテムを特別な価格でオファーしたり、ユーザーごとの消費サイクルに沿ってより人気のあるアイテムを適切なタイミングで提案することができるでしょう。このようなキャンペーンは、カスタマーインサイトによって、特定の商品を長年愛用していることや、特定のサイクルで買い物をする熱心な顧客層を明らかにできるからこそ、実現できるのです。

販売スタッフ・営業担当

icon-sales-representatives販売スタッフや営業担当は、顧客の行動データをもとにした予測分析で適切なターゲットを見つけ、優先度を調整してアプローチすることで生産性向上を図ることができます。営業や販売スタッフは、顧客に闇雲にアプローチするのではなく、一人ひとりの適切な瞬間をとらえ、適切なメッセージを提供することができます。

例えば、ある自動車メーカーでは、CDPで最初の顧客タッチポイントから購入、購入後まで、顧客一人ひとりのカスタマージャーニーを可視化し、コミュニケーションをパーソナライズし、顧客中心主義への変革を引き起こしました。

カスタマーサービス

icon-customer-serviceカスタマーサービスや、カスタマーサポート部門で顧客データ活用を推進することで、オペレータはCRM上のデータだけでなく、顧客のニーズを予測し、今以上にポジティブな体験を顧客に提供できるようになります。タイムリーなコミュニケーションは、顧客満足度を向上させるだけでなく、オペレータやカスタマーサービススタッフを不要な業務から解放することにもつながります。顧客一人ひとりに寄り添った効率的なカスタマーサービスは、解約を減らし、LTV(ライフタイムバリュー)の向上にも寄与します。また、顧客の行動データ等から明らかになったカスタマーインサイトは、購入後のサポートやレコメンドを行う際にも役に立ちます。

ロイヤルティプログラム

icon-loyalty-programs小売企業の展開するロイヤルティプログラムはカスタマーインサイトの宝庫です。綿密に設計されたプログラムを通じて、ロイヤルティの高い顧客と継続的にエンゲージメントを構築することができます。小売企業は、プログラムをもとにした顧客セグメンテーションや、ネクストベストアクション(Next Best Actions)の決定、洗練されたレコメンデーションを行うことで、売上向上を見込むことができます。

製品の発売

icon-product-launchesメーカーの製品発表会は、メーカー直販だけでなく、製品を取り扱う小売企業にとっても顧客との強力なタッチポイントとなり得ます。製品発表会では通常、ロイヤルカスタマーへの「先着特典」、小売店舗やオンラインでのプロモーション、ソーシャルメディアやEメールキャンペーンとの連動、会場やオンラインイベントでの特集などが提供されます。小売企業は顧客インサイトを利用して、さらに顧客の行動を促し、売上を伸ばす機会となります。

小売企業にトレジャーデータがもたらす利点

トレジャーデータが提供するCDPソリューションは、小売企業のカスタマージャーニーにおける多種多様なタッチポイントを管理し、顧客インサイトに基づき一貫した顧客体験を提供します。Treasure Data CDPが小売企業にもたらすメリットは以下の通りです。

複数タッチポイントからの一元的なデータ収集・保管

Treasure Data CDPは、様々なソースからデータを収集し、将来にわたって安心安全に顧客データを保管します。Treasure Data CDPの利用企業は、最小限のコストでデータパイプラインを管理しています。

サイロを解消し、統合顧客データでターゲティングを最適化

Treasure Data CDPは、顧客の属性データ・行動データ、その他の様々な情報を統合することで、より深い顧客理解を可能にします。小売企業はカスタマージャーニーのマッピングを簡素化し、特定のセグメントを正確にターゲティングできます。

顧客インサイトが導くカスタマージャーニーオーケストレーション

トレジャーデータのエンタープライズ向けCDPは、機械学習とAI機能を用いたカスタマーインサイトに基づき、パーソナライズされた体験を顧客ごとに提供します。小売企業は顧客一人ひとりのカスタマージャーニーをマッピングし、最適な体験を大規模に展開することができます。

また、Treasure Data CDPを利用することで、以下のことが可能になります。

  • 販売に貢献する可能性の高いタッチポイントのスコアリング
  • 顧客の興味・嗜好の予測
  • 在庫情報の連携によるオンラインからオフラインへの誘導
  • リアルタイムの分析レポートによるキャンペーンの改善
  • 適切なタッチポイントと適切なタイミングでの顧客コミュニケーション
  • タッチポイントごとでの商品のOne to Oneレコメンド

Treasure Data CDPが小売企業にもたらす変革を紹介した動画をご覧ください。

Treasure Data CDPは、カスタマージャーニー上のあらゆるタッチポイントで顧客一人ひとりに適したコミュニケーション・体験を提供し、顧客エンゲージメントを向上させるため、多くの大手小売企業に採用されています。

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