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CDP World 2025 レポート①:進化するトレジャーデータ 〜CDPはマーケティングの頭脳へ〜

公開日 2026/01/29

10月末にラスベガスで開催されたTreasure Data主催のCDP World 2025カンファレンスに参加させていただきました。このカンファレンスは、前年から参加者が大幅に増加し、顧客データプラットフォーム(CDP)が企業戦略における不可欠な基盤へと進化していることを痛感させられる学びの多い2日間となりました。

CDP World 2025の様子を3回に分けて紹介します。1回目である本レポートでは、CDP業界のリーダーとしてこの進化を牽引し、「信頼できるデータを通じて数十億人をエンパワーメントする」というミッションを新たに掲げたトレジャーデータが発表した、「AIエージェント時代の革新的な製品」に焦点をあてます。

著者:奥谷 孝司

株式会社顧客時間 共同CEO 代表取締役
オイシックス・ラ・大地株式会社 COCO(Chief Omni-Channel Officer)
株式会社Super Normal 代表取締役

1997年良品計画入社。05年に服飾雑貨のカテゴリーマネージャに就任し、定番商品の「足なり直角靴下」を開発、ヒット商品に。10年WEB事業部長。「MUJI passport」をプロデュース。15年10月よりオイシックス株式会社(当時)入社。18年9月にDX & CX戦略構築支援会社として、株式会社顧客時間を設立し共同CEO取締役に就任。また24年6月に自らD2C事業を手掛ける株式会社としてSuper Normalを設立。著書に『世界最先端のマーケティング 顧客とつながる企業のチャネルシフト戦略』(共著、日経BP社)、『マーケティングの新しい基本 顧客と繋がる時代の4P x エンゲージメント』(共著、日経BP社)がある。

1. Treasure Dataの進化:マーケティングの頭脳と次世代AIプラットフォーム

1.1 「マーケティングの頭脳(Brain of Marketing)」としてのCDP

ForresterのJoe Stanhope氏とTreasure DataのCPOであるRafa Flores氏の対談において、CDPは「マーケティングの頭脳(Brain of Marketing)」であると明確に位置づけられました。

従来のCDPの役割は、顧客データを「集める」「整える」「つなぐ」「動かす」プロセスを自動で行うことにありましたが、AI時代においてこの定義はさらに深化します。CDPは、統合されたデータ(Collect, Unify, Transformされたデータ)を必要なタイミングで必要な場所へ動かすまさに神経、「毛細血管」のような役割を果たしています。今後はAIエージェントとCDPの融合が進むことで、マーケターが優れた顧客体験設計の意思決定を正しく行うために必要なデータを制御する中核機能なりうるのではないでしょうか。

1.2 AI Agent FoundryとAI Marketing Cloudの発表

Treasure Dataは、汎用AIではなく、企業が目的に特化させたAIを活用するための基盤として、AI Agent Foundryを発表しました。

AI Agent Foundryは、企業が自社の目的に合ったAIエージェントを設計・生成・管理できる「AI工房」といえます。主な構成要素は以下の通りです。

  1. データ層:Treasure Data CDPに基づく、信頼性の高い統合顧客データ(Clean / Fresh / Richな顧客データ)を提供。
  2. AIモデル層:OpenAI、Anthropic、Geminiなど、複数の基盤モデルをサポート。
  3. エージェント層:Marketing, Service, Paid Mediaなど、目的に特化したSmall Reliable Agents。
  4. Foundry層:エージェントの生成・統合・権限管理を担うガバナンス機能。

この基盤の上で、AI Marketing Cloudが提供されます。これは、以下の5つのAIスイートで構成され、マーケティングの主要領域におけるAI活用を推進します。

  1. エンゲージメントAI機能
  2. パーソナライゼーションAI機能
  3. クリエイティブAI機能
  4. 広告メディアAI機能
  5. サービスAI機能

これらのスイートは、自律的に協調し、ブランドガバナンスを維持しつつ、リアルタイムでの1:1パーソナライゼーションとROI向上を目指します。

AI Agent Foundryとは、「自社専用のAIロボット工場」に例えることができます。Foundry(工場)が、原材料となる高品質な顧客データ(CDP)を受け入れることで、複数の高性能エンジン(LLM)を使って、自社の目的にぴったり合った専門のAIロボット(Small Reliable Agents)を設計し、製造(生成)するイメージです。そして、このマーケティング工場とも言えるベース(Foundry層)が、どのA Iロボットがどのデータにアクセスし、何をすべきか(権限管理とガバナンス)を管理することで、安全かつ確実に業務を遂行できるように保証する役割を行うわけです。

ここまでCDPが進化してくるということは、まさに企業サイドには信頼できる顧客データや製品データの整備が不可欠になるでしょう。

1.3 Marketing Super Agent:異業種競争戦略を仕掛ける次世代プラットフォーム

さらに興味深いのはTreasure Dataが2025年12月にリリースしたMarketing Super Agentというサービスです。

これは、CDPがマーケティングエコシステム全体を統合し、まさにマーケティングテクノロジー業界の異業種競争戦略を仕掛けることができる象徴的な製品です。

Marketing Super Agentは、複数のAIエージェントを統合し、マーケティング業務全体を自律的に運用できる次世代AIプラットフォームであり、「AIオーケストレーション・プラットフォーム」とも言えます。

観点 従来のマーケティング Marketing Super Agent
運用速度
運用速度 手動設定・分析者依存 自動化されたリアルタイム運用
精度
精度 分析者依存、ルールベース データ連動のAI分析
パーソナライゼーション
パーソナライゼーション ルールベース LLM+行動データによる動的1:1対応
チーム構成
チーム構成 分業型 AI×人の協働体制
従来のマーケティング
成果指標 CPA/CTR中心 ROIとCX価値の同時最適化

このSuper Agentの登場は、従来のマーケティングオートメーション(MA)や広告技術(AdTech)ツールが担ってきた機能(調査、データ分析、キャンペーン設計、レポート生成など)を、CDPの持つガバナンスと信頼できる顧客データのもとで自律的に実行・統合してしまうことを意味します。

CEOの太田氏の言葉が印象に残っています。

マーケティングの95%は自動化できる

どこまで行けるのかはまだわかりませんが、Treasure Dataは、AIがオペレーションを担い、人間は「顧客の物語を紡ぐこと」という創造と共感の領域に集中できる未来を描いています。これは、マーケティングプロセスを自社の基盤に取り込み、競争領域を再定義することで、既存のマーケティングツール提供者や広告プラットフォーム企業に対し、異業種競争戦略(内田和成先生の論点になぞらえれば、競争の軸をずらす戦略)を仕掛けていると言えるでしょう。


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