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「Z販促」で実現するリテールメディアの展望

公開日 2022/09/02

LINE株式会社が現在推進しているのが、メーカー企業向けのリテールメディア「LINE POP Media」。店内に設置したLINE Beaconを通して、来店ユーザーのLINEトークリスト最上部に広告掲載が可能なメニューです。2022年4月に組成されたZ販促事業本部 LINE販促事業推進室 In-Store Sales Promotionチームにおいてマネージャーを務める渡邉 祐貴氏が、リテールメディアが注目される背景や、「LINE POP Media」の取り組み、今後のチャレンジについて紹介しました。

※本記事はトレジャーデータ株式会社が2022年7月〜8月に開催した「PLAZMA 2022 Summer」内のプログラムをもとに編集しました。

リテールメディア第一弾「LINE POP Media」が誕生

渡邉

2021年3月、ZホールディングスとしてYahoo!JapanとLINEが連携、2022年4月にはチームを統合し、Z販促事業本部が組成されました。

販促領域での連携:LINE 月間利用者数9,200万 + Yahoo! JAPAN 月間利用者数8,600万 + PayPay 累計登録者数4,700万、加盟店数366万カ所超

LINEが販促領域で連携する主なプレイヤーはYahoo!JapanとPayPayです。Yahoo!Japanは8,600万人(2022年1月〜10月の平均利用者数)、PayPayは利用者数4,700万人(2022年4月時点)、加盟店数も360万店舗以上と、それぞれがユーザーの支持を集めているサービスで、非常に大きなアセットを持っています。そこにLINEの9,200万人(2022年3月時点)というユーザー基盤を追加し、フルに生かした販促サービスの実現を目指す組織ができました。

サービス自体を統合するのではなく、それぞれの特徴のあるサービス群を生かしつつ、本質的な「ユーザー体験を統合」し、より体験をシームレスに、スムーズにする取り組みを行っていきます。

様々なものと人をつないでいく:Yahoo! JAPAN/LINEで商品を認知 → 店舗の近くで、LINEでキャンペーンを認知 → PayPayで購入、キャンペーン応募 → LINEで友だち追加 → 購入した商品の情報をLINEで受け取る。
「様々なサービスをつなぎ、ユーザーに合わせた最適な体験を提供」

具体的には、Yahoo!Japan、LINEのリーチを生かした広告で認知を高め、店頭でも再想起を促すことでラストワンマイルの購買促進が期待できます。また、今後PayPayと連携することで、PayPayでの購入でより簡単にキャンペーンに応募できるといった体験も考えられるでしょう。

さらにLINE公式アカウントはユーザーとの継続的なコミュニケーションに適した場であることから、よりブランドがユーザーと繋がることのできる世界を構築することが可能です。

LINEは、リテールメディアの第1弾として、2022年6月15日に「LINE POP Media」をリリースしました。既にコンビニ、スーパー、ドラッグストアを中心とした22社、24,000店舗程度(2022年6月時点)でサービスを開始しています。店内の買い物中のユーザーとのコミュニケーションが実現できるサービスです。

ブランド企業にとって、店頭という大事なユーザー接点で、より多くのユーザーに商品を手に取ってもらうことが重要ですが、その点において「LINE POP Media」は非常に強いアセットを持っています。

世界で今リテールメディアが伸びる背景とは

リテールメディアは外部プラットフォーム併用型へ:左側に「米ウォルマートがThe Trade Deskと提携し独自DSPを発表・・・膨大なファーストパーティデータを活用」というニュース記事の写真。右側に、イオンお買物アプリの集積データをGoogle Cloudを基盤とした活用のイメージ図を記載。R:最後の購入からの間隔、F:購入頻度、M:購入金額などのユーザー購買データを元に、イオンADを通して、イオン店舗のロイヤルカスタマー、過去3年以内に商品を購入したが、直近3ヶ月で購入していない層、過去6ヶ月以内に5,000円以上購入した層などにセグメント配信する図を示す。

アメリカの調査では、小売のファーストパーティデータを活用できることが、多くの消費財メーカーのリテールメディアへの出稿動機となっています。リテールメディア事業で一定の成果を出しているウォルマートでは、消費財メーカーとの取り組みを中心に、直近の決算では2,100億円の売上を計上しています。

日本においても、小売業がデータを広告事業に利用できる環境が整いつつあります。マツモトキヨシイオンがプラットフォーマーと組み、自社データを活用しながらメーカー向けのメニュー展開を進めています。マツモトキヨシとココカラファインが統合し、ドラッグストア最大手となりましたが、リテールメディアの収益最大化を目指していく組織の誕生もこの潮流を象徴した出来事です。リテールメディアで収益を上げていく動きは、日本においても非常に活発になってきていると言えるでしょう。

小売の商環境の違い(US/JP):USは規模原理 → 2:8、JPは分散、ロングテール、を示す図。
左側に米国小売のトップ企業ランキングが掲載され、Walmart、Amazon、Krogerなど上位企業が売上の大部分を占めており、売上上位20社で合計シェア80%となる。
右側に日本の小売企業ランキングが掲載され、イオン、セブン&アイ、ライフなどの売上シェアが3〜6%台と、トップ20社でも合計シェアは6.6%と分散している。

一方で、商環境の異なるアメリカのリテールメディアモデルを、日本でそのまま真似すれば成功するわけではありません。アメリカの小売の売上シェアは、上位20社が全体の約80%を占めている一方で、日本のスーパーマーケットの売上は上位20社で6.7%程度に過ぎず、シェアが分散していることがわかります。
コンビニひとつを取っても、複数チェーンを日常的に利用しますし、用途や行動により利用するスーパーを使い分けるといった”選択肢の多さ”という特徴があり、必然的にオウンドメディアで抱えられるリーチ規模は少なくなります。そのため、日本においてリテールメディアのリーチ規模や収益最大化を目指す場合、外部プラットフォーム連携によるリーチ最大化が重要課題といえます。

収益額最大化を狙うには、ロイヤル度が高いユーザーにアプローチ可能な収益性の高いオウンドメディアと、外部プラットフォームによるリーチの補完が必要となってくるのです。

ユニークなユーザー接点を武器にするZ販促

2022年5月のカンファレンスでも発表しましたが、データクリーンルーム等を使い、小売企業のファーストパーティデータを活用していく環境の整備を行っています。

競合にない Z販促らしいユーザー接点データのフル活用:店外告知 → 店内告知 → 購買 → 再購入の流れを矢印で示す。
・店外告知:LINE広告/LINE公式アカウント/LINEチラシ。
・店内告知:LINE Beaconによる売場情報 + LINE POP Mediaによる 広告表示。
・購買:PayPay、Yahoo Japan!、LINEなどの各種キャンペーン。
・再購買:LINE公式アカウント。
Data Platformに全てのデータが統合されていることを示す図。

Z販促は「LINE公式アカウント」や「LINE POP Media」など、競合他社に無いユニークなコミュニケーション手段やユーザー接点を持っています。そのメリットをフル活用し、差別化を図っていきます。

グローバルNo.1 CDP基盤を提供するトレジャーデータの包括的な提携図:LINE(9,200 万人へのコミュニケーション接点)がCDPとのAPI連携、Data Clean Roomにより、
TREASURE DATA (顧客プロフィール 760億、アクティベーション 50億/日)。

また、トレジャーデータとの業務提携により、データ連携をより簡単に、素早く行う取り組みが進められることになりました。店内告知、購買、再購買のユニークな接点を強みに、そこから得られるユーザーのデータを、企業が活用するCDPと連携することで、より深いインサイトや、コミュニケーションのあとのPDCAを高速で回すことを可能にします。

小売の新規ビジネスの創出、小売とメーカーの新しい関係作りといった、個別の「こういうふうに使いたい」という要望に柔軟に対応していくことも視野に入れ、ユーザー体験の向上を深めるリテールメディアを実現していきます。

フルファネルに配信・分析できる共同ソリューションの開発・提供を実現図

導入企業は、スムーズにデータハブやデータクリーンルームといった取り組みを実施することができます(※ユーザーの事前許諾を得たデータを、許諾を得た範囲内で活用可能です)。

外部データを組み合わせた高度な分析図

実際の事例をご紹介します。LINEは、対象商品を購入しLINEで応募するとインセンティブがもらえるといったキャンペーンなどを実施しており、そのキャンペーンに応募している≒購買しているユーザーのデータを保有しています(※ユーザーの事前許諾を得たデータ)。そこに例えばPontaのような購買データを保有しているプレイヤーと一緒に、共通キーで突合、分析することで、キャンペーン参加者がキャンペーン以前から買っていたのか、キャンペーンをきっかけに買ったのか、またキャンペーン参加者と非参加者で購買率に違いがあるのかなどの調査ができるようになります。

さらに、その参加者の属性、過去の購買データ、興味関心のジャンルも含めたデータ分析が可能です。このような購買効果の分析価値を軸に「LINE POP Media」以外のメニュー拡充も今後考えていく予定です。

リテールid posセグメント&id pos突合分析レポートPKG:配信セグメントに、ID-POSとCDPのretail 1st partyデータを用いてカスタムセグメントを作成し、LINEトーク画面の広告枠に配信(Talk Head View custome)。そこから、広告接触データをCrean Roomに送り、ID-POSからの対象商品購買データを連携して購買分析を行うフローを矢印で示す。

現在テストを実施しているメニューをひとつご紹介します。LINEのトークリストにはアクティブユーザーの多くが訪れますが、この画面上部に表示されるTalk Head View Customというメニューに、小売企業のファーストパーティデータを活用したセグメント配信を可能とするメニューを検討中です。データクリーンルームを活用し、広告を見た人が実際に店舗を訪れ、その商品を買ったのかをカスタムレポートします。解像度高く購買分析を行い、メーカー・小売企業が同じデータを見ながら継続的かつ高速でPDCAを回していけるメニューを目指しています。

また、今までなかなか使われてこなかった小売企業のID-POSなどのデータを活用することで、実際は広告だが「ユーザーが好んで閲覧するコンテンツ」のような体験を提供することも可能だと考えています。そのためにはよりユーザーに受け入れられるデータ活用と広告フォーマットを検討していくことが重要です。このようなユーザー視点でのメニュー開発により、CTRが0.1%という世界から、10倍、100倍になっていく世界もあり得ると考えています。

日本中のユーザーに、これまでにない満足度の高い買い物体験をし、メーカー・小売企業・プラットフォームいずれにもメリットが出るリテールメディアは「三方良し」を超えた「四方良し」というビジネスを創出できるのです。是非LINEを活用したリテールメディアにご期待ください。

渡邉 祐貴 氏

LINE株式会社
Z販促事業本部 LINE販促事業推進室 In-Store Sales Promotionチーム マネージャー

2008年広告代理店へ入社。ディレクター職を経て、O2O関連事業の立ち上げに参加、子会社化を経験。 2017年LINE株式会社へ入社しデジタル販促事業の立ち上げ期より事業企画として従事。販促キャンペーンプラットフォーム事業推進後、店頭におけるデジタルメディア事業を起案し推進中。現職。

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