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LiveRampが提示する、ファーストパーティデータを最大有効活用したマーケティング戦略

公開日 2022/09/13

プライバシーに配慮しながらユーザーとコミュニケーションを取るにはどうしたらよいのでしょうか?
サードパーティCookieやモバイル広告IDが使えなくなりつつある中、広告主やパブリッシャーは対応を迫られています。LiveRamp Japan株式会社では、独自のデータプラットフォームと独自IDによるソリューションを提供しています。

今後ますます重要性を増すファーストパーティデータを活用したマーケティング戦略とソリューションを、同社Head of Partnershipsの今井則幸氏が紹介します。

※本記事はトレジャーデータ株式会社が2022年7月〜8月に開催した「PLAZMA 2022 Summer」内のプログラムをもとに編集しました。

データプライバシー規制の現状

今井

2022年4月、日本では改正個人情報保護法が施行されました。昨今では2018年にヨーロッパでGDPR(General Data Protection Regulation)、2020年1月にアメリカ・カリフォルニア州でCCPA(California Consumer Privacy Act)が施行され、韓国やタイ、インド、ブラジルなど、世界各国でデータプライバシー規制が標準化されてきています。

データプライバシー規制は新しい標準になっています:国ごとの施行年を示した図。EUの一般データ保護規則/GDPR(2018年3月施行)、カリフォルニア州の消費者プライバシー法/CCPA(2020年1月施行)、韓国の個人データ保護規則(2020年1月可決)、タイの個人情報保護法/PDPA(2020年5月一部施行)、ブラジルの一般個人データ保護法/LGPD(2020年8月施行)、インドの個人情報保護法案(2021年末施行予定)、日本の改正個人情報保護法(2022年4月施行)

また、StatCounter(※アイルランドを拠点とするWebトラフィック解析サイト)によると、Safari、Edge、FirefoxのCookieレスブラウザが、ウェブブラウザ全体の約45%のシェアを占めています。2023年後半までCookieをサポートする予定(※プログラム配信当時。Googleは2022年7月28日に「2024年後半には段階的な廃止を開始する」と発表した)のGoogle Chromeは48.7%で、ほぼ同じ比率です。

モバイル、タブレットだけにしぼると、Safariが62.3%、Chromeが31.5%となり、CookieレスブラウザであるSafariの比率が大きくなります。

Cookieレスブラウザの割合は45%:2021年4月〜2022年3月のデスクトップ/モバイル&タブレットのブラウザシェア円グラフ。Safari・Edge・Firefoxの合計シェア45.3%を示す。Chromeは48.7% を示す。「既に役半分の在庫をターゲティングできていない状況が続いています!!」
モバイル&タブレットの円グラフ(2021年4月〜2022年3月)では、Safari 62.3%、Chrome 31.5%。検索の75.1%がモバイル、24.9%がデスクトップという比率を示し、2021年3月に発表されたレポートによると、検索は75%がスマホから行われています。

モバイル広告IDに関しても、さまざまな取り組みが実施されています。AppleはATT(App Tracking Transparency)をiOS14.5からリリースし、アプリがIDFA(iOS端末のモバイル識別子)にアクセスするにはユーザーの許可が必要になりました。Googleは、Chromeで導入していたプライバシーサンドボックスをAndroidでも実装する方向性を発表しています。

さらに日本経済新聞の記事によると、IDFAによるトラッキングの承認を求められた際、7割のユーザーが「同意しない」と回答しているそうです(2022年4月29日付)。今まで使えていた広告識別子を使えなくなっていく状況が、すでに始まっています。

マーケターの意識はどう変化しているか

今井

このような現状に直面し、これまでサードパーティCookieや広告識別子を利用して広告を配信してきたマーケターの意識はどう変わってきているのでしょうか。LiveRamp Japanではクロスマーケティング社と共同で調査を行いました。

マーケターの意識:デジタルマーケティング活動の課題(n=500)グラフでは、デジタルマーケティング活動の課題では、主要ブラウザの動き、改正個人情報保護法によるプライバシー保護、一方ユーザーエクスペリエンスを向上につながる保有データの活用に関連する項目が上位に。サードパーティCookie 排除後のデジタルマーケティング活動に対しては、ファーストパーティデータの拡充への回答が多く、それに対するソリューションの導入への関心度が高い。
中央グラフ「関心のあるデジタルマーケティング活動」では、ファーストパーティデータの拡充が最も高iい。
ソリューション導入の受容性グラフでは、「興味がある」が大きく「興味がない」を上回っている。

マーケターの認識しているデジタルマーケティング活動の課題としては、「サードパーティCookie排除への対応」「ユーザーのプライバシー保護」「ユーザーに関するデータ活用の最適化」「デジタルカスタマーエクスペリエンスの向上」が挙げられました。

データを分析して最大限活用することで、より有意義な顧客体験を導く、というポイントが非常に大きくなってきていると考えられます。

関心のあるデジタルマーケティング活動として突出していたのが、「ファーストパーティデータの拡充」です。そうした施策に対するソリューションの導入について「興味がある」と回答した人も多く、関心の高さがわかります。

ファーストパーティデータ活用において大切なこと

今井

ファーストパーティデータの活用に大切なのは、「許諾」「可用性」「継続性」の3点です。

自社(ファーストパーティ)データの活用に大切なこと:許諾、可用性、継続性

まず、法律やガイドラインにあるように、「ユーザーのデータを預かること」「それを使用すること」に対する許諾が必要です。

許諾をいただいてデータを預かるのですから、それを利用できる形にする可用性も大切です。また、ブラウザやOSの影響を受けることなく継続してデータを使える環境も重要になってきます。

この調査では、「どういうことをすれば自身のデータを預けてもよいと思うか(許諾するか)」の設問に対し、「自分にとって有益な情報を出してくれるのであれば許諾する」というユーザーの姿勢が明らかになりました。

LiveRampが提供する2つのソリューション

今井

そのような中、「グループ内で統一されたデータ基盤となるIDを作りたい」「ユーザーのインサイトを分析したい」「オンラインとオフラインデータを接続したい」「データを拡張したい」というご相談をよくいただきます。

よく相談をいただく検討内容:目的として、「グループ内で統一されたデータ基盤となるIDを作りたい」「ユーザーのインサイトを分析したい」「オンラインとオフラインデータを接続したい」「データを拡張したい」
ゴールとして「既存ユーザーのLTV向上」「新規ユーザーの獲得」「データを最大限に活用したビジネス」

これらの課題に対するファーストパーティデータを活用したソリューションとして、LiveRamp Japanでは「Authenticated Traffic Solution(ATS)」と「LiveRamp Safe Haven(LSH)」の2つを用意しています。

ファーストパーティデータを活用する施策:「高い価値の在庫」
・販売戦略:パブリッシャー。
・アクセスと貢付:広告主 → 「Authenticated Traffic Solution(ATS)」
「ユーザー分析→データ販売戦略」→「LiveRamp Safe Haven(LSH)」

ファーストパーティデータを最大限に活用するためのデータプラットフォーム:LiveRamp Safe Haven

今井

LiveRamp Safe Haven(LSH)は、保有するファーストパーティデータを最大限に活用するためのデータプラットフォームです。「データのエンリッチ化」「コラボレーション/Co-マーケティング」「マーケットプレイス内のデータ&デジタル・アセット」の機能を備えています。

ビジネス機会の創出:左「データのエンリッチ化」
・既存顧客データの活用
・第三者パートナー連携によるデータ拡張
・パートナーがより顧客を理解することで、より効果的なターゲティング
「従量制のサービス費」
中央:「コラボレーション/Co-マーケティング」
・パートナーのデータと自社のデータを連携可能にすることによるエンリッチ化
・Look-a-likeモデルの適用
・計測データ提供
・自社のデータにアクセスを許可するパートナーへのサブスクリプションモデル
「サブスクリプション費・メディア費」
右:
「マーケットプレイス内のデータ&デジタル・アセット」
・連携DSPを通した、オムニチャネルでのデジタルキャンペーン実施
「メディア費」
全体の下部に「LiveRamp Safe Haven + ATS」。

LSHは「“接続”可能なデータによる“信頼ベース”のエコシステム」です。社内の他事業部やパートナー企業と強固なパートナーシップを構築することができます。コラボレーション先とデータをかけ合わせて分析し、最終的にそれを広告費の最適化や広告キャンペーンの結果に結びつけるには、ユーザーをターゲットできる基盤が大切です。そのためのエコシステムを提供しています。

「接続」可能なデータによる『信頼ベース』のエコシステム」(強固なパートナーシップを構築):中央に「自社」を示す大きな円があり、周囲に「社内他ソース」「顧客」「ユーザー」「広告配信プラットフォーム」が結ばれている。自社からLiveRampと連携し、セキュアなデータ接続から、4つの箇条書き。
①比類のないインサイトを提示して、マーケティングと商業的成果を向上させる(ファーストパーティデータの最大有効活用・自社の事業部やパートナー企業などのセカンドパーティデータとの連携)
②よりパーソナライズされたエクスペリエンスを推進(既存顧客のLTV向上・新規顧客獲得)
③パートナーが広告費を最適化できるようにし、消費者の行動をキャンペーンに結びつける(自社メディア・オムニチャネルでのターゲティング)
④競合との差別化(新しいビジネス戦略)

データ活用にはさまざまな課題がつきまといます。いくつかのCRMやデータベースにデータが分散してしまう「断片化」、データ分析や効果測定における課題、さらに急速に変化する消費者行動への対応も必要になります。LiveRamp Japanは、これらの課題に対してLSHというプラットフォームでサポートしています。

最大の課題を解決する – LiveRamp Safe Haven:
1. 断片化:同じ社内なのにデータが断片化していて、またプライバシーの観点から容易に結合できない → 360°ビュー:保持するファーストパーティデータを1か所に、かつ安全に保管してその価値を最大化
2. データの価値:顧客と購入のデータが結びついていない → データのリッチ化:小売業者とメーカー、または連携可能な有効なサードパーティデータの接続
3. 高い期待:プラットフォーム毎に断片化されてしまっているデータは、パーソナライズ化困難 → 有効的なオーディエンス:最適化したセグメントを活用できるエコシステム。
4. キャンペーン投資:メディアの測定が正確にできないことで、不要なキャンペーン投資を継続してしまっている → 費用対効果の測定:Web、モバイル(App)、CTVを通してのコンバージョン計測が可能。
5. 急速な変化:サプライチェーンの問題と急速に変化する消費者行動に対して、新しいアプローチが必要 → データ主導の戦略:価値のあるデータへの即時アクセスにより迅速に対応可能。

独自IDによる認証トラフィックソリューション:Authenticated Traffic Solution

今井

Authenticated Traffic Solution(ATS)は、独自IDを利用した認証トラフィックソリューションです。独自の固有ID「RampID」を使用して広告のターゲティングを行います。

デバイスID、モバイル広告IDといったこれまでの識別子が使えなくなる中、課題となるのはどうやってターゲットとなる人を見つけて広告を配信するか、ということです。ATSは日本を含む世界各国のパブリッシャーと協力し、ログイン認証をトリガーとしてRampIDを生成します。

パブリッシャーから「うちのサイト・サービスにこのRampIDを持った人がいますよ」という信号を送っていただき、それを見つけていただいてやり取りをするという仕組みを取っています。

「RampID を使用したエンドツーエンドソリューション(最適化したセグメントをデジタルキャンペーンで活用)」
ATS(Authenticated Traffic Solution / 認証トラフィックソリューション):
ファーストパーティデータから推測型ではなく確定データとして顧客データを共有したり、これまでの識別子(IPアドレス、Cookie、モバイル広告IDなど)に依存することなく、ユーザーのエクスペリエンス向上につながる情報を効果的に提供する「ピープルベースマーケティング」を実現。
「パブリッシャー」ログイン認証により RampID を作成(Cookieレスブラウザ、Cookieをサポートしているブラウザ、アプリや CTV からRampID を生成 Platformsに送られ → オーディエンスデータを接続し、RampID で取引する → 「広告主」:RampID によるユーザーとの接続(
データレイク、代理店プラットフォーム、計測・分析)
図の下に「RampID により、エンドツーエンドのアドレッサビリティを実現」

ATSは、日本や世界のDSP(Demand-Side Platform)やSSP(Supply Side Platform)に協力をいただいており、CookieやデバイスIDに代わる識別子として、現在皆様が使ってらっしゃるエコシステムの中でほぼそのまま使うことが可能です。

RampIDを活用したユーザーコミュニケーションの事例

今井

最後に、RampIDの活用事例を紹介します。

アメリカでウェアラブル活動量計を販売する企業で、RampIDを使用したキャンペーンと従来のCookieベースのキャンペーン、両方を実施して比較した事例です。

RampIDを使用したキャンペーンでは、CRM内のデータを分析して古いバージョンの機器を使用しているユーザーやあまりアクセサリーを持っていないユーザーを洗い出し、バージョンアップやアクセサリーの購入を促す1to1のコミュニケーションを行いました。その結果、CookieベースのキャンペーンよりもROASが2倍、実際の注文額が13%向上しました。それぞれのユーザー群にマッチしたコミュニケーションを行ったことで、ユーザーに「これは私が欲しいものだ」「私が今必要としているものだ」と思ってもらえたのだと考えられる事例です。

高いパフォーマンスを実現:ウェアラブル活動量計ブランドはユーザー認証ベースのRampIDを使用して 2 倍のROASを達成。
このキャンペーンで、Cookie 後の広告の『力』と『価値』を証明することが出来ました。」
+2倍増加:Cookie によるターゲティングよりも高い広告費用対効果(ROAS)。
-34%減少:Cookie によるターゲティングに対して、ページビューあたりのコスト(CPPV)が減少。
+13%増加:平均注文額(AOV)が増加。

ご興味ある方は是非japanteam@liveramp.comまでお問い合わせください。

<スピーカー>

今井 則幸 氏

LiveRamp Japan株式会社
Head of Partnerships

2010年に米Yahoo!社が提供していたRight Mediaに入社し、日本市場でのAd Exchangeビジネスの定着と拡大に尽力。その後MediaMath社をはじめグローバルの広告プラットフォームで日本市場のビジネス展開、デジタル戦略とソリューションの専門知識を培ってきました。2019年3月に現在のデータを安全かつ効果的に活用するためのデータ接続プラットフォームのLiveRamp JapanにHead of Partnershipとして入社。IDソリューションをパブリッシャー、テクノロジープラットフォームといったパートナーへの提供を担当。

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