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Treasure Data CDPとZendeskで実現するCX向上

公開日 2022/01/12

顧客満足度が経営に与える影響が大きくなる中、これまでのコールセンターよりも対応範囲を広げたコンタクトセンターを設置してマルチチャネル化やCX向上に取り組む企業が増えています。

コンタクトセンターの業務を効率化するCSプラットフォーム「Zendesk」の公式パートナー、株式会社エクレクト(以下、エクレクト)代表取締役の辻本真大氏が、コンタクトセンター体制構築に重要な要素とZendesk導入によるCX・EXの向上事例を紹介しました。また、後半ではトレジャーデータ株式会社の奥寺徳久を交えて、Treasure Data CDPとZendeskの連携によって可能になるデータドリブンなコンタクトセンター体制について語りました。

※本記事はトレジャーデータ株式会社が主催した「PLAZMA 20」(2021年10月開催)のセッションをもとに編集しました。

辻本 真大氏

株式会社エクレクト
代表取締役

大学卒業後、株式会社シャノンにて、MA部門責任者、支社長などを歴任。その後、株式会社マネーフォワードにて、マーケティング、法人セールス・アライアンス部門責任者として従事。数多くの企業と接する中で、顧客との信頼関係こそ企業・サービスを支える土台だと気付く。そのような想いの中、Zendeskと出会い、今後の企業と顧客の関係性に必要なプラットフォームであると確信し、Zendeskを広めるべく株式会社エクレクトを創業。​

奥寺 徳久

トレジャーデータ株式会社
シニアセールスマネージャー

シャノンにて国内マーケティングオートメーション事業及び大型カンファレンスシステム全般の導入コンサルティング、2015年〜オラクルにてマーケティングシステムMA、DMPのセールス従事、その後SalesforceにてB2Bマーケティングのプロダクトセールスマネージャーを経てトレジャーデータへ入社。金融機関をメインに全組織のデータ活用ビジネス基盤の提案を主として活動し、現在はTreasrue Data CDP for Serviceを専任で活動。​

最新レポートに見る、カスタマーサービス業界の現状

辻本

弊社エクレクトは、「Zendesk」の公認パートナーで、アジア太平洋地域においてNO.1の導入実績を誇ります。ベンチャーから大手の企業まで、幅広くDX化の取り組みの支援をしており、特にカスタマーサービスの領域においては非常に多くの支援実績があります。

まず、「Zendesk」の提供元であるZendesk社の最新調査レポートから、カスタマーサービス業界の現状をご説明します。

コロナ禍もあり、カスタマーサポートへの問い合わせ数は非常に多くなっています。2020年の週平均問い合わせ数は依然と比べて20%以上増加し、なお今も増え続けています。

2020年、カスタマーサポートへの問い合わせ数が上昇し、週平均で20%増加。今、現在も増え続けている。

これにより、問い合わせに対応するオペレーターが感じるストレスも増大しています。一方、顧客側は自分自身にパーソナライズされた対応をしてほしいと、当たり前のように期待しています。

増加する問い合わせ数にストレスを感じているエージェントの割合は、70%
企業に対してパーソナライズされた対応を期待している顧客の割合は、75%。一方で、エージェントは必要な情報にアクセスできていない。

しかし、オペレーターはパーソナライズのために必要な情報にアクセスができないために、なかなか思うような対応ができないという現状がこのアンケート結果からも汲み取れます。

ネガティブなサポートやネガティブな対応をされた際、2人に1人が「もうこの会社と付き合いたくない」と感じる、という調査結果もあります。サービスや製品に確実な差別化ができていれば顧客を引き留められるかもしれませんが、そうでなければ対応ひとつですぐに切り替えられてしまうのが現状です。

ネガティブなサポートを一度体験しただけで、競合他社に切り替えると回答した割合、50%

カスタマーサービスのDXは、CXとEXの両方を考慮すべき

辻本

変化の激しいウィズ/アフターコロナの時代、人々のライフスタイルもワークスタイルも変化しています。このような状況の中でCX(カスタマーエクスペリエンス)を向上させようとするならば、CXの取り組みだけでは不十分です。CXに取り組む従業員の満足度、いわゆるEX(従業員エクスペリエンス)を高めていかなければ、CX向上には結びつきません。

DXはニューノーマル時代の“架け橋”:with/after コロナの社会の変化 → ライフスタイルの変化、ワークスタイルの変化。
DX:組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化、“顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変革。
CX:多様で変化する顧客の期待を理解し、卓越した顧客体験を360°で提供(ライフスタイルの変化)。
EX:生産性の向上にとどまらない、業務体験と働き方の実現(ワークスタイルの変化)。
「CX(カスタマーエクスペリエンス)やEX(従業員エクスペリエンス)の追求が重要」

CXとEXをつなぐ架け橋となるのがDXです。顧客と従業員、両面を考えてDXに取り組む必要があります。しかも単純にデジタル化をすればいいだけではなく、「トランスフォーメーション」ですので、ビジネス自体を変革させなければいけません。

ではカスタマーサービスのDX化はどのように進めるべきでしょうか。下の概念図をご覧ください。

顧客満足を高めるためのカスタマーサービスオペレーションとプラットフォーム:
Personal context、Omni Channelの360°サイクルを示す大きな円があり、認知、探索、トライアル・評価、購入・使用、問題解決、エンゲージメントが並ぶ。
顧客の成功と体験として、 Customer Success + Customer Experience = 顧客満足(CS)」になると示す。
顧客成果を実現するサービスと組織として、Service Enablement + Employee Engagement = 従業員満足(ES)」になると示されている。
「従来のCXの定義を超えた360°の顧客体験とサービスオペレーション、ニューノーマル時代のカスタマーサービスプラットフォーム」

ひと昔前のカスタマーサービス(コールセンター)は、購入済みの顧客のみを対象として対応をしていました。図の中央の円の中で、濃い緑色になっている部分です。

しかし現在のカスタマーサービスは、認知からエンゲージメントまで、図中で薄い緑色になった部分も含めた全ての顧客に対して対応をしています。どこにでも顧客とコンタクトする場があるということで、コンタクトセンターとも呼ばれます。

それと同時に、実際に顧客に対応する従業員の体験も向上させる必要があります。冒頭で、問い合わせ数が増えて従業員が疲弊しているというアンケート結果もありました。従業員の負担を軽減して働きやすくするためにも、CSプラットフォームが必要になってくるわけです。

新しい時代のCSプラットフォーム「Zendesk」の紹介

辻本

新しい時代のCSプラットフォームに何が求められるのか、5つの要素を下に示しました。

ニューノーマル時代のCSプラットフォームに求められる5つの要素:
Online Merges with Offline(OMO )→ オムニチャネル、OMO対応の360°のカスタマーサービス。
UI Excellence → 高いカスタマイズ性と卓越したユーザビリティ、顧客/オペレーター共に使いやすい操作画面。
Cross-team Collaboration → チームコラボレーションを促進する機能と拡張性(Zoom、Slack、Teams、Boxなど)。
Intelligent Automation → 生産性向上を実現する自動化機能(Business Rules、Macros、Triggers、Automations)。
Data Driven → 業務自動化と深い顧客コンテキスト理解を支える BI/データ基盤。
1. オムニチャネル、OMO対応
2. 高いカスタマイズ性とユーザビリティ
3. 自動化機能
4. チームコラボレーションを促進する機能と拡張性
5. 自動化と深い顧客理解を支えるBI/データ基盤

顧客にとって都合の良いチャネルで問い合わせ応対をできるオムニチャネルやOMO対応は、もはや当たり前ですがまだまだ実現できていない企業も多いと思います。オペレーターが操作しやすいUIや、ルーティンワークの自動化も重要です。

対応中にはオペレーター自身で解決できない場面も多々あるので、管理者や別部署とのチームコラボレーションによって最適解を顧客に提供しなくてはなりません。そして、データをうまく使って顧客体験に生かしていく。これら5つが次世代のCSプラットフォームに必要な要素であると考えています。

Zendeskの紹介:
・本社:San Francisco
・顧客数:100,000+
・従業員数:4,400+
・サービス提供:160ヶ国
「カスタマーサービスのための、シンプルで拡張性の高いプラットフォーム」
Zendeskの各製品アイコン:support、chat、talk guide、explore、connect、sell、Custom apps、Third-party apps、。

「Zendesk」は、上記5つの条件を全て備えたCSプラットフォームです。カスタマーサービスに特化したクラウドのソフトウェアで、10万社以上にグローバル展開をしています。顧客と企業とのコミュニケーションを一括で管理できるコミュニケーションプラットフォームと呼んだ方がいいかもしれません。

ZendeskはCSの悩みを解決します:
1. カスタマーサービスに特化したクラウドソフトウェア
2. 生産性を高めるイージーでシンプルな管理画面
3. ライセンス・導入・運用メンテナンスの全てがリーズナブルな費用
4. 成長と変化に強いソリューション
5. 拡張性に優れたオープンなプラットフォーム。
Zendeskの製品アイコン(support, guide, chat, talk, explore, sell, gather, sunshine)
Zendeskがカバーするカスタマーサービス領域:オムニチャネル対応からセルフサービス、データ分析まで提供できる次世代カスタマーサービスのオールインワンソリューション図

「Zendesk」は、上図のように幅広いカスタマーサービス領域をカバーします。今回はその一部分として、Treasure Data CDPとのデータ連携を紹介します。Treasure Data CDPとの連携により、コンタクトセンターに溜まっていないデータを基に顧客を理解したり、次のアクションに活かしたりできるようになります。

Zendeskの導入事例(東京電力エナジーパートナー株式会社)

辻本

東京電力エナジーパートナー様は、非常に長い歴史のある企業です。問い合わせチャネルは電話のみで、拡張性や柔軟性がないのが課題でした。この課題を細かく分解し、課題解決のために以下の施策を行いました。

Zendesk 導入前の課題:
「電話だけのチャネル」
・いつも混んでいてつながらない
・セルフサービスでサクッと解決したい
「柔軟性がない」
・どんどん複雑になる受付業務
・オペレーターの効率化に必要なシステムと連携できない
導入前課題図:
お客さま → 電話だけ → エンタープライズシステム(レガシーなシステムだけ) ← オペレーター
課題:
・電話がつながりにくい、時間が限られる、応対時間が長い、保留が多い → 施策としてセルフサービス、オムニチャネル
・応対パターンが複雑で難しい、スクリプトや説明事項が長く生産性が上がらない → 施策として高度なオペレーター支援
・先進的な技術(AIなど)を導入しにくい、柔軟にブース増減がしにくい → としてクラウド活用

顧客が自身で閲覧できるFAQサイト(セルフサービス)を整備し、電話だけではなく、オムニチャネルの対応もできるようにしました。EXにつながるオペレーターの支援とクラウド活用も行っています。

Zendeskを選定したポイント:
強力なAPI連携機能(Zendeskのすべてが操作できるAPI、AIなど外部サービスとの柔軟な連携)、
直感的に操作できるUI(最小限のオペレーターのトレーニング期間、新しいチャネルのオペレーションにスピーディーに着手)、
複雑なビジネスロジックへの対応(検証が完了した業務をスムーズに拡大、柔軟性の高い自動化処理)。
「小さく始められ、拡張性があり、使いやすい」

強力なAPI連携や使いやすいUI、複雑なビジネスロジックへの対応が、Zendesk選定のポイントです。小さく始めて拡張していけるところと、使いやすさが評価されました。

Zendesk導入後のシステム全体図:
お客さまから、オムニチャネルの統合でAmazon Connectやチャット、LINE、FAQ経由でZendeskにコンタクト連携。
Zendeskは、AIによるセルフサービス・オペレーター支援(AWS、IBM Watson、Google Cloud)、ナレッジ、コミュニティ、SSO(okta)、CASB(netskope)、Slack、基幹システム、分析基盤での高度なアナリティクスと連携。
オペレーターは、SSO(okta)、CASB(netskope)、Zendeskを通じて対応する。

上図はZendesk導入後のシステム概略図です。まず、電話のみだった顧客接点がオムニチャネル化されており、電話もAmazon Connectでクラウド化しています。セルフサービス(FAQ)には、幅広い年齢層の要望に最適解を提示できるようAIを導入しました。

Zendesk の利用状況:Zendeskで扱う業務範囲を段階的に追加。
チケット数は月20万件(AI による自動応対分を含む)。
エージェント1,000 人、ライトエージェント5,000人。
サポートセンター拠点8拠点(電話 4拠点、チャット2拠点、メール2拠点)。
業務自動化はマクロ850、トリガ120。
2020年4月から2021年1 月にかけてチケット数が急増するグラフ(Zendesk Explore より)。

現在のZendesk利用状況が上図です。月に20万件チケット数(問い合わせ数)をこなすことができています。エージェントは、いわゆるオペレーターと考えてください。約1,000種類の自動化機能も使用しています。

Zendesk導入による成果

成果の一つとして、まずチャットの導入・活用によるCXとオペレーション効率の向上を紹介します。チャットの一次応対はAIが行い、そこで解決しなければ有人チャットにつなぐという二段構えの仕組みです。これによりオペレーション効率が2倍、顧客満足度が1.3倍になりました。この二つの両立はなかなか難しいのですが、両方達成できています。

オムニチャネルとしてのチャット活用:チャット導入によりお客さま満足度の向上とオペレーションの効率化を両立。
オペレーション効率×2、お客さま満足度×1.3。
・電話受付と比較してどちらも改善。
・AIとのシームレスな切り替えや、1人のオペレーターが同時に複数対応することにより、電話よりもスピーディーに解決。
・その結果、満足度も向上。
・Zendeskのショートカット(定型文)やマクロ機能もフル活用して効率化を実施。

電話をクラウド化したことで、他の仕組みと連携しやすくなったという利点もあります。音声のAI機能と連携し、AIによる事前ヒアリングをテキスト化して予めオペレーターに共有するという取り組みも行われています。

オムニチャネルとしての電話活用:
Amazon Connect、AI音声自動応答システムとの連携。
・AIが音声認識による自動応答で定型的な項目を事前に確認。
・AIが確認した項目はZendesk上でシームレスにエージェントへ引き継ぎ。
AIとエージェントの協力により電話受付の効率化を目指す。
ZendeskにAmazon Connect のソフトフォンを連携、AI自動応答の情報をエージェントへ引き継ぐ画面記載。

先程ご紹介した通り、セルフサービス(FAQサイト)にもAIを導入しています。以前は顧客がFAQ内を検索しても50%が0件ヒットでしたが、その割合が6%に改善しました。「ここに来れば疑問が解決する」と思ってもらえればFAQを見る人も増えるので、PV数も2.5倍になっています。

ナレッジ活用の高度化(お客様向け):AIを活用したFAQ 検索。
・FAQを活用したセルフサービスの拡大のため、検索機能をWatsonと連携。
・ユーザの意図に応じた検索結果を表示。
・月間160万回閲覧(2.5倍)。
・検索結果の0件ヒット率が50%から6%に改善。
図:ユーザがZendeskにFAQ検索し、AIへ検索リクエストとしてIBM Watsonに連携。
・Watson DiscoveryとAPI連携。
・検索ワードの意図に対するFAQごとの関連性をAIが計算、関連性が高いものを返す。

一般公開されている顧客向けFAQの他に、オペレーター向けのクローズドなFAQも存在します。Zendeskの管理画面に実装しているアプリケーションで顧客向けと社内向けのFAQを一気通貫で検索することができ、そこで見つけられたナレッジを基に顧客対応をするという仕組みです。

ナレッジ活用の高度化(オペレータ向け):社内のナレッジを統合管理。
・お客さま向けと社内のナレッジをまとめて運用
・オペレータはすべての情報の中からAIによる検索結果を確認できる
・AIの検索結果に対するフィードバック機能、検索精度を継続的に向上させる仕組み
・分散したナレッジを統合することで運用の効率化
・各FAQの公開範囲の設定で管理
・オペレータがすべてのナレッジを統合して検索するZendeskアプリを作成
・検索結果のフィードバックによりAIを継続的に学習させる

チームコラボレーションにはSlackを活用しており、「#教えて管理者チャンネル」とZendeskを連携することで即座に回答できない質問をSlack上にエスカレーションしています。そこで管理者から得られた情報を基にオペレーターが顧客に回答するというスピード感のある対応が、CX向上につながります。

チームコラボレーション:#教えて管理者チャンネル(サイドカンバセーション)。
・エージェントとマネージャー間のQA対応をSlackでリアルタイムに実施
・将来的にQAを蓄積して分析 → ナレッジ化して回答を自動化
Zendesk :エージェントはお客さま対応中のチケット画面から直接Slackチャンネルへ質問。
Slack:管理者はSlackチャンネルで複数のエージェントからの質問に回答。

Zendesk導入プロジェクトの進め方

東京電力エナジーパートナー様には莫大な量の既存業務があり、電話対応を行っていたコールセンターも大規模なものでした。Zendeskの導入を進めるにあたり、既存の組織からは切り離して新しい取り組みだけ行う環境を作り、そこで上手くいったものをどんどん横展開して広げていく、いわゆる「アジャイル」型で進めました。これにより、非常にプロジェクトがスムーズに進みました。

新しいシステム環境へのスムーズな業務移行のために行ったこと:
「既存環境と切り離して新しい環境を構築」
・既存システム環境の改良には設備面・運用面など制約があった
・実現したいことをゼロベースから構築
・これによりスピード感を持ったアジャイルを実践できた
「業務を切り出して段階的に移行」
・既存システム環境から新しい環境へ切り出す業務を精査
・Step1:早期に実証可能なシンプルな業務
・Step2:本丸となる業務。ただしそれなりに複雑
・まず、これらの移行をターゲットに進め、実現できたら、そこから業務部門へ引き継いでスケールさせていく
「リリース後も柔軟に変更する」
・継続的なモニタリング&分析
・仮説を立ててオペレーション変更をスモールに実施
・結果がよければ水平展開
・ちょっとしたスクリプトの最適化にも効果がある
・ナレッジをためていく

先程、新しい時代のCSプラットフォームに求められる5つの要素を紹介しました。この5つの要素を東京電力エナジーパートナー様の事例ではどのようにカバーしたかを下図に示します。

ニューノーマル時代のCSプラットフォームに求められる5つの要素:Online Merges with Offline(OMO)、UI Excellenceは、基本機能でカバー(得意領域)、Cross-team Collaboration、Intelligent Automationは、
基本機能と拡張性でカバー、Data Drivenは、CDP連携でカバー。

オムニチャネル対応とユーザビリティはZendeskの基本機能でカバーできます。自動化機能とコラボレーションについても基本機能でカバーできますし、必要に応じてSlack連携等の拡張も可能です。

データドリブンはZendeskとTreasure Data CDPの連携でカバーしており、ここがタイトルにもある「Treasure Data CDPとZendeskで実現するCX向上」の部分です。

対談:Treasure Data CDP×ZendeskでCXが大きく変わる

ここからはトレジャーデータの奥寺が加わり、Treasure Data CDPとZendeskの連携によるデータドリブンなコンタクトセンター体制が、どのようにCX向上につながっていくのかを話しました。
辻本

電話がつながらない、たらい回しにされる、という課題はZendeskだけで部分的に解決することはできますが、より顧客に即した体験を提供するとなると幅広いデータ活用が必要になってくると思っています。このあたり、奥寺さんはどう思われますか。

奥寺

我々が「超直近ログ」と呼んでいるデジタルの購買行動やトランザクションのデータを、エージェントがオペレーションとして意識せず利用できる環境があると、よりロイヤリティの向上や収益につながりやすいのではないでしょうか。

辻本

そうですね。よりそこが求められてきていると思います。ロイヤリティを高めれば顧客はファンになっていきます。ファンになれば「またここで買おう」と思いますし、「この企業は私のことをわかってくれている」と感じれば、多少何かあったとしてもそこで買いますよね。デジタルの力を活かすことによって、それをブーストすることができます。

ロイヤリティを高める顧客対応の実現に向けて:
「よく見受けられる顧客の不満」
顧客対応の環境変化に寄り添っておらず、いまだ企業視点でのコストセンターとしての扱いで、顧客の不満は募る(例:電話がつながらない、電話の待ち時間が長い、適切な問合せ先がわかりづらい、問合せしても一度で解決しない、たらい回しで何度も同じ説明が必要、解約の方法がわかりづらい)。
「CDP活用による課題解決」
プロフィットセンター化/リレーションシップセンター化を図り、顧客視点での対応を強化することで顧客満足度を向上。
CDP for Contact Center(例:顧客の求める問合せチャネルとの連携、顧客に応じた問合せページFAQの表示最適化、顧客の自己解決率を高め、不要な入電の抑制、ロイヤル顧客の問合せに優先的に対応、直前の顧客行動・購買・利用状況を把握した解決策提示、アクティブサポート。
結果として、VOCを共有知としたオペレーションやマーケティング施策、商品・サービスの改善。
「マーケティング領域で顧客理解の深耕/One to One対応の基盤としてすでに成熟しているCDPを本領域にも活用し、顧客満足・LTVの最大化と業務効率化・負荷軽減を実現」
奥寺

ただし、全てのデータにアクセスできるからといって利便性が上がるわけでもないと思っています。データの上手な活用の仕方と、Zendeskを含めた活用のためのインターフェース、両方のバランスを見ながらデータ活用体制を作り上げるのが我々CDPプレイヤーとエクレクトさんの役割分担になるかと思います。

辻本

そうですね。要はデータをどう使える状態にするのかが非常に大事だと思っています。生データを見ても何のことだか分かりません。ZendeskとTreasure Data CDPが連携することによって、データの分析結果や次のアクションに生かしやすいデータが加工されてエージェントに対して届くと。そうすると、次にどうしたらいいか、こういう傾向があるのか、とぱっと分かるようになりますので、「使えるデータにする」というのが非常に重要なポイントかなと思います。

CRM領域では、元々Treasure Data CDPの得意領域であるデータ加工や連携を、より業務的な範囲でリアルタイムに返していくというのが強みになるかと思います。我々の新プロダクト「Treasure Data CDP for Service(※)」や「Treasure Data CDP for Sales」でも、一緒にやっていける領域があるのではないでしょうか

※イベント開催時は旧名称「Treasure Data CDP for Contact Center」でしたが、2021年10月12日からのグローバルでのサービス展開に伴い「Treasure Data CDP for Service」へプロダクト名称を変更しました。文中では新名称で記載しています。

辻本

そうですね。次のスライドがまさにそういうところだと思います。従来のコンタクトセンターでも、マルチチャネル化はできるんですよ。でも次のステップを目指すならば、下図の右側にある通り、データを用いて「ネクストベストアクション」を提示してあげる必要があります。

顧客体験データをもとに One to One の顧客体験を提供:現状のコンタクトセンターとCDP for Contact Center導入後の比較図
奥寺

コンタクトセンターと顧客の接点は電話だけではない、というのがキーだと思っています。Web、FAQ、チャットなど、いかなる接点においてもデータを用いてきちんと顧客を理解し、接客・応対ができる環境を作っていくのが非常に重要なのではないでしょうか。

辻本

そうですね。電話でも、メールでも、チャットでも、顧客にとって1人の「自分」は変わらないので、チャネルごとに分断された対応をされると違和感があるのでしょう。チャネルごとに分断されたデータを統合し、かつマーケティングやEC等他の部門で得た情報も連携できれば、顧客にとって「『自分』を理解してくれている」と感じられる体験を提供できるようになります。

奥寺

いわゆる初回の顧客接点から二次三次も含めて、CRMが母体にならない領域のデータもやはり見ていかなくてはいけないと思っています。データの取り回しと加工はCDPで行いつつ、活用自体はZendeskであったりMAであったり、いわゆるCMSも含め、得意な部分を役割分担して一気通貫で行っていく必要がありますね。

辻本

そうですね。まさに今回の協業の意義はそこにあります。データを活用したくても活用できる形に変えられないという課題を持つ企業は多いので、トレジャーデータさんの持つ知見やデータの加工・分析技術が活かせるでしょう。さらに、コンタクトセンターにおいてデータ活用が有益なのはもちろん、コンタクトセンターで集めたデータを他部門で有益に使える可能性も考えられます。それらも含めた相互連携というところが非常に重要になりますね。

奥寺

一方的にデータを送りつけるだけではなく、データをきちんと流通させていくという役割がすごく重要ですね。データを活用してプラスアルファでの期待値を顧客に提供し、満足度を上げていくことができると「データを活用できている企業」に変われるのではないでしょうか。

辻本

そうですね。我々も顧客の声をうまく生かしていきたいと思っています。Zendeskはあらゆるチャネルでのコミュニケーションを一元的に管理できますが、その声を次に生かしていくためのベストプラクティスは現状まだ確立されていません。Treasure Data CDPとの連携は最適解になり得る可能性を秘めているので、ぜひこれからも進めていきたいですね。

奥寺

顧客接点をマネジメントしてCX向上につなげるコンタクトセンターという組織は、これから日本の中でもどんどんできてくるのではないかと思っています。我々の得意なデータの領域はもちろん、他の領域は皆さんと協力して、様々なエコシステムの中で体制を変えていけるとよいのではないかと思いました。

CDP for Contact Center が提供する具体ソリューション図
辻本

Treasure Data CDP×Zendeskの組み合わせで具体的にできることとして「LTV向上」「顧客応対の適正化」「予測による事前対応」の三つを挙げています。こういった取り組みとして一緒に進めていきながら、より多くの顧客にフィットできるCX向上を目指せればと思います。

奥寺

そうですね。ぜひ一緒に進めていければありがたいです。本日はありがとうございました。

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