CDPを活用した
マーケティング最適化の実践例
効率的なマーケティング最適化に重要なことは何か? B2BリサーチファームAscend2社の調査によると、特にEメールキャンペーンでは「パーソナライゼーション」が、マーケターの最優先事項(43%)だとわかりました。2位は「データの品質」(39%)、3位は「デザイン」(34%)、4位「メッセージング」(33%)、5位「コンテンツの種類」(28%)と続きます。
多くのブランドにとって、パーソナライゼーションはますます不可欠な要素になる中、カスタマーデータプラットフォーム(CDP)は、マーケティングを進めるにあたって必要不可欠になりつつあります。ここでは、CDPを活用したマーケティング最適化の事例を見ていきます。
CDPとは何か?
カスタマーデータプラットフォーム(CDP)は、企業内に散在するシステムやチャネルから収集した多種多様なデータを用いて、豊富な顧客プロファイルを構築し、顧客一人ひとりに一貫した体験をもたらす顧客データ基盤です。
CDPを活用することで、マーケターはウェブサイトのパーソナライズ、ターゲティングメールの送信、一人ひとりに関連性の高いおすすめコンテンツの提供、リターゲティングの実施など、さまざまなパーソナライズ施策が可能になります。
CDPは、多種多様なデータソースやシステムに接続することで、顧客情報を一元化します。顧客とのリアルタイムなコミュニケーション、モバイルでの取引、キャンペーン、カスタマーサポート、POSシステム、マーケティング、購買履歴など、あらゆる種類のデータを用いて顧客データ基盤を構築します。
CDPは、統合された顧客プロファイルを作成し、マーケティングだけでなく、営業やカスタマーサービス、カスタマーサポートなど、社内の全部門にとって共通の情報源となります。一人ひとりのカスタマージャーニーの全体像を理解し、顧客接点の最初から最後まで、一貫した体験を顧客に提供できます。
最適に構築されたCDPであれば、カスタマージャーニー上の各接点で、高いレベルのパーソナライゼーションを大規模に実施することが可能です。
その他マーケティング最適化施策例
- AIを活用したレコメンデーション
- 継続的に行うA/Bテスト
- オーディエンスの再ターゲティング
- オーディエンス・セグメントの活性化
- ディスプレイ広告、検索広告、ソーシャルメディア等、様々なチャンネルを横断したリアルタイムでの最適化
CDPによるマーケティング最適化事例
企業は、顧客へのコミュニケーション、パーソナライゼーションなどのマーケティング施策を最適化するために、CDPをどのように活用すればよいのでしょうか? 実際の活用事例にそのヒントがあります。
例1: メールキャンペーンによるリードナーチャリング
リードナーチャリング(リード育成)は、B2Cブランドと比較して少ない顧客を対象とするB2Bブランドにとって、重要な戦略であるとともに、顧客数が増加している局面において、有望な見込み顧客を絞り込むためにも有効です。リードナーチャリングでは主に以下のようなメールキャンペーンが行われます。
- 自動応答機能: ウェルカムメールや誕生日の挨拶など、プログラムされたスクリプトを顧客に送信。
- ドリップメールキャンペーン: ブランドや製品・サービスに関する一連のメールを顧客に送信。
- クローズドループキャンペーン: 過去のマーケティングおよびセールス活動に対する顧客の反応に基づいたメールを送信。
マーケターは、CDPで新規顧客とロイヤリティの高い顧客を見極め、新規顧客には時期尚早なロイヤリティプログラムのオファーではなく、ブランド哲学などのEメールコンテンツを提供することでブランドのファン化を狙います。このように見込み顧客のステージに応じてコンテンツをパーソナライズすることで、ブランドの認知度を高めていくのです。この動きは、新しい見込み顧客獲得にも繋がります。
例2: セグメンテーション
セグメンテーションはパーソナライゼーションと同様に、顧客の好みに基づいたマーケティング最適化の優れた手段の一つです。マーケターはCDPの機能を活用して、顧客の関心や興味関心度合いに応じて、メッセージの内容、コミュニケーションの頻度、チャネルのチューニングを行うことができます。
例えば、製品ラインを拡大して、従来と異なる市場を開拓しようとする企業のマーケターは、顧客のセグメント分析を行いインサイトを導き出し、新たな市場に属する顧客に関連性の高いコンテンツを提示することが可能です。
同様なことは、ロイヤルカスタマーとコミュニケーションする場合にも当てはまります。グローバル規模でのコミュニティを構築するブランドは、ロイヤルカスタマーにタイムリーにかつ適切なメッセージを発信する必要があります。マーケターは、メリハリのないメッセージを送るのではなく、CDPで作成したセグメントに対し、簡単にパーソナライズされたキャンペーンを提供できます。
例3: オムニチャネルでのコミュニケーション
マーケティングを成功させるためには、あらゆるチャネルで顧客にアプローチすることが重要です。現代の顧客は複数のタッチポイントを別々の体験とはみなしていません。オフライン・オンライン関係なく、異なるチャネルを自由に行き来してひとつのブランドとコミュニケーションをとっています。そのため、マーケターはすべてのタッチポイントで一貫したコミュニケーションを行う必要があります。
CDPによりマーケターは消費者とブランドのあらゆる接点で、正しいメッセージでコミュニケーションがとれるようになります。エンタープライズCDPが備える自然言語処理や行動分析などの高度なテクノロジーを活用し、オムニチャネルコミュニケーションを最適化できるのです。
例えば、音声検索のような新たなタッチポイントで、新しいオーディエンスを獲得したい場合。
まず、CDPで過去の音声検索データを分析し、人気があり一般的とみなされる会話キーワードを特定します。次に、これらのキーワードから音声で買い物をする顧客のニーズを予測し、検索結果を最適化します。加えてCDPで行動分析を行った上で、Webサイトのコンテンツを整え、関連する広告を表示し、パーソナライズされた体験を提供します。こうして、スムーズなカスタマージャーニーを実現します。
顧客がますます多くのデバイス・チャネルと接触する現在において、CDPはオムニチャネルでのコミュニケーションに最適なソリューションです。
例4: アンケートによる顧客の声のフィードバック
顧客を味方に付けたマーケティング最適化も可能です。
顧客はマーケティングメッセージを受け取り、イベントを体験し、キャンペーンを利用し、コンテンツを消費します。それらの行動がもたらすデータに加えて、調査やアンケートのようなフィードバックツールを通じて、顧客の豊富なインサイトを獲得することもできます。CDPで顧客行動とそれら「顧客の声」を統合することで、顧客にさらにシームレスな体験を提供します。
しかし、何かのメリットがなければ、顧客はアンケートに回答してくれないものです。マーケターは、アンケートに適切なインセンティブを与えることで、フィードバックを促す必要があります。CDPは顧客の行動、顧客の声を分析することで、顧客が何に興味関心を示しているのかを明らかにし、指針をマーケターに提供します。
またCDPを用いて、アンケートへの導線を最適化することも可能です。モバイルアプリやソーシャルメディアなどの一般的なインターフェースのどこにアンケートの案内を設置し、顧客に負担をかけることなくスムーズにアンケートを実施することができるかをデータドリブンに決定することが可能です。
マーケティングチームは、貴重な顧客からのフィードバックを利用して、コンテンツやデザイン、その他のコミュニケーションを改善します。フィードバックは、コンバージョン率を高める施策、解約を減らす施策にも有用です。
例5:パーソナライゼーションとネクストベストアクションを活用した意思決定
Treasure Data CDPのようなエンタープライズ向けCDPは、より深い顧客分析とそこから得られるインサイトから、カスタマージャーニーをパーソナライズします。リアルタイムのパーソナライゼーションは3つのステップで行われます。
- オーディエンス管理: 多種多様なデータを収集し、プロファイルを統合して顧客データの基盤を構築します
- ジャーニーオーケストレーション: キャンペーンの設定をチューニングし、顧客をコンバージョンに導きます
- オムニチャネルメッセージング: メール、ソーシャルメディア、ディスプレイ広告など各チャネルを横断。特定のセグメントをターゲットとしたメッセージングを構築します
Treasure Data CDPはプロファイル APIを使用して、きめ細かい顧客情報に基づいてコンテンツを個別に最適化します。さらに、リアルタイムに顧客データを参照して、セグメントを更新します。Treasure Data CDPのA/Bテストツールと組み合わせることで、パーソナライゼーションをより最適化することも可能です。
Treasure Data CDPのAIおよび機械学習機能は、マーケターにとって究極のマーケティング最適化ツールです。
ネクストベストアクション(次の最良手)の決定
トレジャーデータのCDPは、データから得られる顧客インサイトと大量データの分析により、顧客が望むもの、望むタイミングを、正確に予測します。また、分析によって明らかになったインサイトとパターンから、顧客をコンバージョンに近づけるためのネクストベストアクション(次の最良手)を提示します。
ネクストベストアクションをいかに導くかは、単なる最適化の話ではありません。マーケティングの仕組みが持つ全知ともいえるものです。
トレジャーデータが提供するCDPは、顧客のエンゲージメント状況と顧客行動の予測結果などをもとにして、その後の行動をさらにチューニングし、改善するプロセスを継続的に繰り返すことで、さらにリッチな顧客行動データとインサイトを提供します。
例えば、新たに車を買おうとしている顧客を考えてみましょう。顧客行動の最初のステップは、地元のディーラーをオンラインで検索することです。Treasure Data CDPは、ファーストパーティデータから顧客一人ひとりのプロファイルを作成し、その顧客が特定の車種を購入する可能性をスコア化します。
マーケティングチームは、Treasure Data CDPを活用して、顧客の行動に基づき、普段利用するデバイス(PCやスマートフォン)、ソーシャルメディアやEメールといった顧客一人ひとりの好みのチャネルに対し、高度にパーソナライズされたキャンペーンを実施します。
気持ちを高めるようなメールを送るのか、その顧客がよく利用するチャネルに広告を表示させるのか、顧客の地元にある販売店の情報を送るかーーTreasure Data CDPはネクスト・ベスト・アクション(NBA)を提示し、マーケティングチームに最適な選択肢をもたらします。顧客が車を購入すると、Treasure Data CDPは再びそのデータをトリガーにロイヤリティプログラムを展開し、カスタマージャーニー上の様々な接点でアップセル/クロスセルの機会を提供します。
マーケティング最適化のための基盤:トレジャーデータのエンタープライズCDP
トレジャーデータのエンタープライズCDPは、企業が抱える複雑な課題をデータで解決するCDPです。多様なマーケティング施策を最適化し、顧客一人ひとりに最高のカスタマージャーニーを実現し、最高の顧客体験提供を目指す450以上の世界中のブランドから信頼を得ています。