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新規顧客率99.8%を実現した毎日新聞社×TSIのCDP連携 〜アッパーファネルを攻める広告戦略〜

事例顧客
  • 株式会社毎日新聞社
    営業総本部 デジタル推進室
    川名 智子氏
  • 株式会社TSI
    EC事業統括部 CRM・マーケティング部 データマネジメント課
    上石 萌子氏

現代のデジタルマーケティングで、広告プラットフォームを活用した運用型広告は主流の手法となっている。費用対効果の面で非常に有効だが、それだけに頼ると見落としてしまう要素もある。

そうした中で、新たな広告の方向性を示したのが、毎日新聞社とアパレル大手TSIホールディングス(以下、TSI)による施策だ。両社は、それぞれが運用するTreasure Data CDPを通じて、個人情報が特定されない形で顧客データを連携。このデータを、TSIが展開するレディースブランド「ADORE(アドーア)」の広告配信に活用した。

施策の背景と今後の展望について、毎日新聞社でデジタル広告サービスを手がける川名智子氏と、TSIで主に運用型広告を担当する上石萌子氏に話を聞いた。

新規率99.8%
CDP連携におる既存顧客を除外した広告配信で、新規顧客率99.8%を達成
Cookie規制に対応した長期的な顧客接点
ニュースサイトの日常的な閲覧特性が長期間にわたる顧客トラッキングを可能に
総合ニュースサイトの多角的なターゲティング
ブランドの想定を超える新しい顧客層へのターゲティングを実現

運用型広告で難しい新規顧客へのリーチに成功


毎日新聞社は、「毎日新聞」「毎日新聞デジタル」などを運営する大手メディアだ。ニュースサイトをはじめ、グループのデジタルサービスを利用する会員に「毎日ID」を発行し、顧客データを管理する。

川名氏ら広告部門では、登録時に入力された個人情報、アンケートで得られる興味関心等のデータ、記事の閲覧データをTreasure Data CDPに集約。統合したデータから多様なセグメントを作成し、毎日新聞デジタルはじめ同社が運営する情報サイト内での予約型広告配信に活用する。

TSIホールディングスは、「ADORE(アドーア)」のほか、「ナノ・ユニバース」「ナチュラルビューティーベーシック」「パーリーゲイツ」など約50のブランドを展開するファッション企業。2020年にTreasure Data CDPを導入し、MAやWeb接客、各種広告プラットフォームなど、多様なツールと連携。データクリーンルームや生成AIの運用にも早々に着手するなど、マーケティングにCDPをフル活用してきた。

毎日新聞社と連携する狙いは、「新規顧客の開拓」だ。

「ECの売上に直結するよう広告を運用していたので、サイトへの訪問、購買など、既に接点があるお客様とのコミュニケーションがメインになっていた」という上石氏。運用型広告のプラットフォームは、トラフィックや購買、会員登録等の目標に対して広告を最適化するため、配信が既存顧客に偏る傾向があるのだ。

単体の広告を見れば費用対効果は高いが、潜在的な顧客への「認知」や「興味」といったアッパーファネルの施策がなければ売上は頭打ちとなり、全体としてのマーケティング効率は下がっていく。

「新規のお客様に、ブランドを知っていただく必要性は日に日に高まっている。トレジャーデータに相談したところ、毎日新聞社の広告サービスを紹介され、関心を持った。毎日新聞の読者層と、ブランドコンセプトも重なった」と、上石氏は取り組みの経緯を振り返る。


約3週間のトライアルで毎日新聞社の予約型広告を利用したところ、ユニークユーザーの99.8%を、新規顧客が占めた。

「新規のお客様に向けた広告施策の可能性が広がった」と上石氏は、成果に対する手応えと、今後への期待を示す。

CDPにより人を軸とした広告出稿が可能に

短期間での実施ながら、今回の施策を高く評価できるのはなぜか?ポイントを整理していこう。

まず挙げられるのは、Treasure Data CDPを介して、精密なCookieの連携ができることだ。TSIは自社サイトで計測したファーストパーティCookieをTreasure Data CDPに格納し、毎日新聞社のTreasure Data CDPと連携する。毎日新聞社は受け取ったCookieを除外して、純粋に新規の顧客にのみ広告を配信する。同じCDPのシステムを活用することで、精度の高い除外設定が可能になった。

次に、広告主が直接的に媒体社から広告枠を仕入れる予約型広告の可能性だ。自動的に配信を最適化する運用型広告とは異なり、予約型広告では指定したターゲット、広告枠、表示回数等が保証される。そのため、広告プラットフォーム側のロジックに過度な影響を受けることなく、広告主の意図を施策に反映しやすい。

今回の場合、これまで配信されなかった面に、広告が表示されたと考えられる。毎日新聞社は運用型の広告枠も提供しているが、ブランドとの相性を考慮すれば、プラットフォームは女性向けのファッションメディアなどへ、優先して予算を配分するはずだ。予約型広告の仕組みによって、これまで接点のなかった多くのユーザーに、リーチした可能性が高い。

ただし、新規顧客と接点を持つだけでは、有効なセッション、ひいては売上の向上にはつながらない。毎日新聞社は広告のターゲティングに、Treasure Data CDPを非常にうまく活用している。

「CDPを導入したことで、ユーザーの興味関心を中心に、詳細なデータを取得できるようになった」と川名氏は評価する。従来、同社の予約型広告では、性年代別など限られたセグメントしか作成できず、広告主は記事のジャンルなど、コンテンツを軸に配信面を指定するケースが多かったという。

Treasure Data CDPの導入後は、ユーザーの属性と閲覧状況を把握したうえで、細かい興味関心の推定が可能に。コンテンツだけではなく「人を軸とした」セグメントを作成し、広告配信できるようになった。いわば、高精度のターゲティングで費用対効果を高める運用型広告と、アッパーファネルの施策を含め全体最適する予約型広告のメリットを、両立しているのだ。

最後に、毎日新聞社の媒体があらゆるジャンルを扱う総合ニュースサイトであることにも、注目したい。前述のように女性ファッション誌のWeb媒体など、カテゴリが明確なメディアならば、アパレルブランドとの相性は良いと判断できるが、毎日新聞デジタルはそうではない。

しかし、そこにメリットがある。

日々起こる出来事を発信するニュースサイトでは、ユーザーは多種多様なジャンルの記事を読む。記事の閲覧、広告との接触等のデータを分析すれば、ファッションの枠組みを超えた幅広い角度から、ブランドに関わる人物像を推定できる。例えば、「最新ビジネスと環境問題に関心の高いユーザーは、ブランドAにも関心を示す」といった具合だ。

「以前は細かいターゲティングが難しかったが、CDPを活用することで、多様な条件を組み合わせてセグメントを作成できるようになった」と川名氏。これは、毎日新聞社の広告サービスが提供するユニークな価値と言えるだろう。

なお、顧客データにはCDP内で機械学習をかけ、ターゲットを拡張する。個人を特定することなく、興味関心が共通するユーザーを推定。複雑な条件をかけ合わせた(母数が少ない)場合でも、一定のボリュームがあるセグメントを作成している。

新聞社の広告だからこそできること

「今回はスポットでの取り組みだったが、体制を整えて継続したい」と連携に意欲を見せる上石氏。川名氏は「ニュースサイトは時期により、アクセスの状況が異なる。スポーツなどイベントのタイミング、社会問題やトレンドに合わせて広告出稿すると、おもしろい結果が出るのではないか」と応じ、長期的な取り組みのメリットを強調した。

運用型広告では半ば自動的に売上やトラフィックを増やせるが故に、川名氏の言う、「世の中の文脈に合わせたコミュニケーション」が、忘れられる可能性がある。社会の動きのなかで、自社の商品をどのように位置づけることができるか。それが、どのように顧客の獲得や売上につながるか。時事情報を幅広く扱う総合型のニュースサイトなら、さまざまな仮説の検証が可能だろう。

さらに、歴史ある新聞社の媒体は読者からの信頼性が高い。毎日新聞社は読者の体験を重視し、情報の内容はもちろんのこと、広告のあり方にも配慮を徹底する。「広告を出しすぎて、記事が読みづらくなっては本末転倒。サブスクリプションでコンテンツを提供する会社として、読んでいただくことを最優先に、自然な形で広告が表示されるよう意識している」(川名氏)。情報の信頼性やアドフラウドが問題視される中、広告主にとっても、顧客体験を損なわない広告戦略の重要度は増している。


Cookie規制の対応にも有効な連携

トレジャーデータとしても、今回の毎日新聞社とTSIの取り組みには大きな可能性を感じている。配信面をある程度コントロールできる媒体社の予約型広告では、今まで想定していなかった層へ、意識的にアプローチし、新たなインサイトを探ることも可能だ。

例えば、「経済やビジネスに関心の高い女性をターゲットとしていたブランドが、実はスポーツやレジャーに関心を持つアクティブな女性にも受け入れられる」といった可能性を見いだせる。多様なコンテンツを有する総合型ニュースサイトと、多様なデータを統合するCDPの利点を活かし、運用型広告のプラットフォームとは別の形で、幅広い仮説検証ができるだろう。

新聞社のニュースサイトという性質上、ユーザーが毎日接触することにも留意したい。ブランドは、前述のように社会的な文脈と、コンテンツを読む体験に沿ったうえで、高い頻度で顧客との接点をつくることができる。

この点は、近年強化されるCookie規制の対策としても、メリットがある。例えば、iOS標準のSafariでは、一部のCookieが7日間で自動削除されるようになり、特に自動車や不動産など、リードタイムの長い商材のマーケティングは、大きな影響を受けている。前回から8日以上経ってアクセスした場合、識別できないユーザーとして計測されるため、純粋な新規ユーザーが計測できない、または、既存ユーザーのリターゲティングやアトリビューションの計測ができない、といった問題が生じるのだ。

しかし、日常的に閲覧されるニュースサイトなら、Cookieは継続的に保存されるので、実質として長期間のトラッキングが可能だ。CDPも合わせれば、プライバシー保護の流れを尊重し、セキュリティに配慮したうえで、幅広い施策を実施できる。

このように、Treasure Data CDPを活用した毎日新聞社の広告サービスは、複雑さを増す市場環境を切り開く、有効な打ち手になり得る。トレジャーデータとしても、TSIのさらなる新規顧客開拓を推進するとともに、マーケティング先進的なケースのひとつとなるよう、充実したサポートを提供していく。

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