Customer Logo 三菱電機株式会社 日本アイ・ビー・エム株式会社

CDP × AI活用によるBtoB営業変革 〜顧客情報一元化による新たな価値創出

事例顧客
  • 三菱電機株式会社
    デジタルイノベーション事業本部 DXイノベーションセンター プラットフォーム設計開発部
    荒木 伸一氏
  • 日本アイ・ビー・エム株式会社
    コンサルティング事業本部 Marketing & Experience Transformationシニア・マネージング・コンサルタント
    麻生 剛氏

三菱電機グループは、機器やシステムの提供にとどまらず、その後の運用で得られるデータも活用し、新たな価値や次のサービス創出へとつなげるビジネスモデルへの変革を進めている。

こうした取り組みの中核を担うのが、独自のデジタル基盤「Serendie®(セレンディ)」になる。事業横断でのデータ活用を通じて、事業と顧客の関係性を継続的に進化させていく構想だ。その推進に向けて同社は、BtoB営業活動における顧客情報の一元化にTreasure Data CDPを活用している。これにより、顧客との接点や営業活動に関する情報を整理・可視化し、組織として活用できる基盤が整えられてきた。今回は、CDP活用の背景や具体的な取り組みを紐解きながら、三菱電機が描くBtoB営業変革の現在地を紹介する。

サイロ化していた営業情報をCDPに集約
事業部門ごとに入力・管理されていた営業情報の一部をCDPに集約。顧客を起点に情報を整理することで、部門間の情報連携の課題を解決。
ダッシュボードによる顧客の全体像の可視化
集約した情報は、ダッシュボードで共有。営業現場の声を反映しながら設計することで、業務効率化にもつなげていく。
CDP×AI活用による営業支援の高度化
CDPに集約した顧客情報や営業情報をAIに連携し、可視化にとどまらず、営業活動そのものを支援する仕組み作りも進めている。

三菱電機の経営戦略とデジタル基盤「Serendie®」

三菱電機は1921年の創立以来、100年以上にわたり、社会や産業を支えるさまざまな製品・システムを提供してきた。数多くの現場に製品を納め、その後も長期にわたって顧客と向き合い続けてきた経験は、同社の事業のあり方だけでなく、現在のデジタル戦略の考え方にも深く影響している。

そうした背景のもと、三菱電機が経営戦略として掲げているのが「循環型 デジタル・エンジニアリング」だ。製品やシステムの提供だけではなく、そこから得られるデータを起点に、次の価値創出へとつなげていく。その循環そのものを、事業の中核に据えようという考え方である。

「この循環を進めていくために、立ち上げたのが、デジタル基盤『Serendie』です。Serendieという名称は、『Serendipity(思いがけない発見)』と『Digital Engineering(デジタルエンジニアリング)』を掛け合わせた造語であり、データを起点に、これまでにない価値を生み出すための基盤として位置づけています」

(荒木氏)

CDP導入の背景

循環型デジタル・エンジニアリングを機能させるためには、顧客の潜在的な課題やニーズをより深く捉え、顧客と共に価値を創り上げていく必要がある。

同社は複数の事業本部制で成り立っており、営業活動や損益管理も事業本部単位で行われている。
複数部門間で連携した営業も行われているが、営業情報を管理するシステムは事業部ごとに運用しており、システム間でデータがつながっていない状態になっている。そのため、連携した営業活動を行う際に、属人的なつながりによる情報共有となることがあり、情報の網羅性に課題意識があった。同じお客様に複数部門が訪問しているケースもあり、データを集約することで、お客様理解をより深めていきたいとの意識もあった。

こうして三菱電機は、「顧客情報の一元化」に取り組むことに決めた。

「具体的には、各部門で利用されているSFA等の営業情報のうち、共有可能なものをCDPに集約し、顧客を起点に情報を参照できる形で整理しました。ダッシュボードを通じて情報を共有することで、組織として扱える基盤に整えていくことが狙いです」

(荒木氏)

CDPの選定にあたっては、複数の選択肢が検討された。その中で三菱電機がTreasure Data CDPを採用した理由について、荒木氏は「データ一元化の容易性」「連携データの拡張性」「データ処理の優位性」の3点を挙げた。

「部門ごとに仕様の異なるSFAと接続しやすい標準コネクタを備えていることに加え、今後さまざまなデータを取り込める柔軟性を持っている点、そして大規模なデータ処理を前提とした基盤である点が、採用の決め手となりました」

(荒木氏)

この判断については、CDPの導入を支援したIBMの麻生氏も、「各種コネクタを備えたTreasure Data CDPを活用することで、既存の仕組みを崩すことなく、業務を維持したままデータ活用の恩恵を受ける仕組みをめざしています」と補足する。

CDP × AIが切り拓く、BtoB営業の次の姿

Treasure Data CDPによって営業データの一元化と可視化が進んだ三菱電機では、次のステップとして、そのデータをAIに連携し、営業活動そのものを支援する施策が始まっている。

現在進められているのは、SFAに蓄積されたデータに加え、提案書や製品カタログといったデータをデータベース化し、ナレッジベースとしてLLMと連携させる実証だ。AIエージェントが顧客情報や過去の知見を横断的に参照しながら、「特定の顧客にどのようにアプローチすべきか」を提案するような形を目指している。

テクノロジーだけでは進まない。取り組みを支えた“勘所”

荒木氏は、「この取り組みは技術的なアプローチだけで成立するものではない」とも語る。実際にプロジェクトを進める中では、いくつかの勘所が必要だったという。

1つは、事業部門の巻き込みだ。営業情報を集めるにあたり、データ提供者である営業部門からは、情報共有への懸念も挙がった。そこで、営業担当者へのインタビューやワークショップを重ねながら現場の課題を整理し、活用効果の事例作りを進めている。

同時に重視しているのが、運用ルールの定着である。ルールを定めるだけでなく、現場に周知し、実際に守られる状態をつくることまで含めて、ガバナンスという守りの視点にも力を入れている。

さらに、複数の事業部門に加え、システム部門や法務、外部ベンダーなど、多くの関係者を調整するステークホルダーマネジメントも欠かせなかった。荒木氏自身、システム開発に本格的に関わるのは初めてだったこともあり、今回の取り組みではIBMと連携しながら、資料を用いた認識合わせを丁寧に重ねてきたという。

IBMの麻生氏は今回のプロジェクトを振り返り、次のように語る。

「B2BにおけるCDP活用は、開拓余地があります。これまでCDPは個人の顧客を対象に議論されることが多かったですが、企業アカウントベースの顧客管理を目的としたデータ基盤としても可能性を感じています。今後もB2BにおけるCDPの可能性を探っていきたいと思います」

(麻生氏)

こうしたテクノロジーやAIの導入に加え、一見すると当たり前に見える推進の基本動作を積み重ねてきたことが、プロジェクトの下支えとなっている。CDPによる顧客情報の一元化、ダッシュボードによる可視化、そしてAIによる営業支援。三菱電機の取り組みは、BtoB営業の変革を一足飛びに実現しようとするものではない。その愚直なプロセスこそが、次の競争力を形づくっていく。

製薬企業のマーケティング・営業 DX:製薬企業の営業とマーケティングのDXにフォーカスをあてた本資料

製薬企業の

マーケティング・営業 DX

マーケティングと営業DXついてまとめた資料を、今すぐダウンロード

おすすめ

View All

Treasure AI Voice

音声×CDP×AIが、現場の声を統合しCX最適化を加速

arrow

Treasure Data Connected World 2025 基調講演

AI時代のCDPと顧客データ活用

arrow

Treasure AI Studio

会話型AIワークフロー

arrow

ホーム > イベントレポート > CDP × AI活用によるBtoB営業変革〜顧客情報一元化による新たな価値創出