防災の新常識がデータで判明!「食料」より「トイレ」が最優先な本当の理由
公開日 2026/03/192026年1月24日放送のTokyo MX「田村淳のキキタイ!」の番組内コーナー『キキタイ!データラボ』第1回では、防災の備蓄トレンドについて解説しました。番組内では「えっ、乾パンじゃないの?」という驚きの声も上がりましたが、実は最新のデータが示す「被災生活のリアル」は、私たちのイメージとは大きくかけ離れているんです。
今回は、放送で出し切れなかった具体的な数字をもとに、令和の防災新常識を深掘りします。

「簡易トイレ」が1位に躍り出た理由
かつての防災といえば「水・食料」が不動のトップでしたが、今のトレンドは明確に変わっています。被災後で「本当に困ったこと」をベースにした、最新の優先順位を見てみましょう。
| 1位: | 簡易トイレ(従来の1位「水・食料」を逆転!) |
|---|---|
| 2位: | 水・食料 |
| 3位: | モバイルバッテリー |
意外に思われるかもしれませんが、食事は数日我慢できても、排泄は1分も待ってくれません。この「生理的な必需性」こそが、簡易トイレがトップに躍り出た最大の理由でしょう。
被災地を苦しめた「トイレパニック」の正体
なぜこれほどトイレ対策が叫ばれるのか。実際の調査データが示す現実はあまりに過酷です。断水により自宅のトイレが使えなくなるのはもちろん、避難所のトイレは不衛生を極め、仮設トイレが届くまでの数日間、深刻な不足状態に陥りました。その結果、多くの被災者が「トイレを我慢するために水分を控える」という行動をとり、これがエコノミー症候群や感染症といった命に関わる二次被害を招いたのです。不衛生なトイレによる精神的苦痛と健康被害は、明確な「生存リスク」としてデータに刻まれています。
備えへの「意識高い系」vs「意識低い系」の決定的な行動差
ここで、皆さんの「防災ペルソナ」をチェックしてみましょう。
| 備えの項目 | 🟢 意識高い系(備えあり) | 🔴 意識低い系(備えなし) |
|---|---|---|
| トイレ備蓄 | ||
| トイレ備蓄 | 簡易トイレ30回分以上を常備 | 予備のトイレットペーパー1個のみ |
| 避難準備 | ||
| 避難準備 | 避難指示から5分以内に出発完了 | 停電後に「スマホのライト」を探し始める |
| 備蓄状況 | ||
| 備蓄状況 | 水2L×12本、カセットコンロ完備 | 賞味期限切れの缶詰が1個あるだけ |
「意識高い系」は、地震速報が鳴った瞬間に家族へLINEし、ハザードマップで避難所を即座に答えられるのに対し、「意識低い系」は台風当日に売り切れたコンビニの棚を見て途方に暮れる……。この行動の差が、非常時の「安心感」を左右するのです。
令和の防災は「自分事化」がすべて
今回のデータを総括すると、防災とは「いつか来る災害への義務」ではなく、「自分の日常と尊厳を守るための投資」へと変化しています。
まずは「簡易トイレ」を揃えるだけで、被災直後の絶望感は劇的に軽減されます。
食べ物・飲み物だけでなく、1人あたり35回分(7日分)の災害時トイレの備蓄もはじめてみませんか?そんな小さなアクションが、あなたと大切な人を守る大きな一歩になります。
次回のトレンド解説でも、こうした生活者のリアルな変化をデータから紐解いていきたいと思います。どうぞお楽しみに!
著者:宮野 淳子
トレジャーデータ株式会社 CMO
ロレアル パリ日本市場の立ち上げを経験後、アマゾン、ジョンソン・エンド・ジョンソンを経て、ゴディバでCDOとしてマーケティングおよびDX領域を歴任。
2024年11月よりトレジャーデータのCMOに就任。AIとMAを一体化したCDPの力で、企業の顧客体験の未来を切り拓くことをミッションに、市場拡大を牽引している。Monash大学大学院およびロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)大学院卒業。
分析に用いた主な参照データ:
- 株式会社クロス・マーケティング「防災に関する調査(備え・実践編)(意識編)」2022-2025年
- こくみん共済 coop「防災・災害に関する全国都道府県別意識調査2024」
- 日本トイレ研究所「熊本地震 避難生活におけるトイレに関するアンケート」
- 楽天市場「防災関連グッズランキング」2025年