株式会社サンリオ

サンリオのデータドリブン経営への挑戦 ──Treasure Data CDPと実現する組織変革の裏側

事例顧客

「ハローキティ」や「マイメロディ」など、世界中で愛されるキャラクターを生み出してきたサンリオ。そんな同社の持続的成長を支える原動力が、データに基づく意思決定だ。経営層から現場まで、あらゆるレベルでデータを活用する文化を築いてきた。

その変革の基盤となっているのが、カスタマー・データ・プラットフォーム「Treasure Data CDP(以下、CDP)」の導入。サンリオは、外部パートナーと協力しながら、データサイエンスの専門組織を立ち上げ、独自の“データドリブンカルチャー”を育んできた。

今回は、サンリオがどのようにしてこの文化を構築し、CDPを最大限活用しているのか。その舞台裏と成功のポイントに迫った。

「生活者起点」の経営を支える、迅速かつ高度なデータ活用

株式会社サンリオは、「ハローキティ」や「マイメロディ」をはじめ、世代・国境を越えて愛されるキャラクターを多数展開する、日本発のエンターテインメント企業だ。グッズ販売やライセンスビジネス、テーマパーク運営に加え、近年ではデジタル領域やグローバル展開にも注力。時代の変化を的確に捉え、ブランド価値を高め続けている。
そんなサンリオが経営の強化手段として注目したのが「データ活用」です。
社内のデータチームやマーケティング部門に加え、専門性を持つ外部パートナーと連携するかたちで、社内外のリソースを組み合わせたデータサイエンス組織を立ち上げた。
この取り組みには、主に二つの目的がある。

  1. データに基づいた精度の高い意思決定を実現すること
  2. 購買データなどにとどまらず、「生活者視点」のインサイトを企画・マーケティングに活かすこと

現在、データ関連部門には約10名の社内メンバーが所属しており、外部パートナーを含めた全体では約30名の体制を整備。Treasure Data CDPを基盤としたデータ活用環境を構築し、顧客との多様な接点における情報を統合的に管理・活用できるようになっている。
CDPの導入・運用には、同分野に精通した外部パートナーが参画しており、高度な専門性とスピード感を両立した運用体制が実現されているという。

外部パートナーとの連携が、組織に「データを見る文化」を根付かせる

データ活用人材の確保が困難ななか、サンリオが外部パートナーとの協業を進めているのは必然だった。社内では常に新たな仮説が生まれるが、それを迅速に検証するには高度なデータ分析スキルが欠かせない。

「特に、データオペレーションやデジタル・アドテクノロジー分野では専門性が求められ、社内だけで人材を確保・育成するには限界があります。CDPを活用して必要なデータをスピーディーに整備・提供してくれる外部パートナーの存在が、社内メンバーの課題発見や施策立案を支えています」(柴田氏)

こうした体制により、現場では「まずデータを見る」という姿勢が自然と根付きつつある。必要なデータをCDPから抽出・ダッシュボード化し、視認性を高めたことで、社員が日常業務にデータを無理なく活用できる環境が整った。

「Google Analyticsの画面でも難しいと感じる社員もいるため、必要な情報を絞り、見やすいダッシュボードにしています」(柴田氏)

ある部門では、週次会議やレビューの冒頭でダッシュボードを確認することが定着。数値の確認にとどまらず、「なぜ成果が出たのか」「次に注力すべき点はどこか」といった建設的な議論が生まれる場となっている。

意思決定の「質とスピード」を経営層から現場まで向上させる

サンリオでは、CDPとメッセージ配信ツールなどを連携させたナーチャリング施策も展開している。しかし柴田氏は「本質はそこにとどまらない」と語る。

「CDPの価値をマーケティング施策に限定するのはもったいない。データの真の価値は、あらゆる意思決定の質を高めることにあります」(柴田氏)

たとえば、長期間アクティブでない顧客群を分析で特定し、アプローチを停止するという判断を下したケースがあるという。結果として、反応が期待できない層への無駄なコストを削減し、アクティブな顧客への施策に集中することができた。

「やるべきことだけでなく、“やらないこと”を冷静に見極める判断力こそ、データ活用の本質です」(柴田氏)

このような姿勢は経営層とも共有され、全社的な変革を後押ししている。データドリブン経営の実現には、社長自身の強いコミットメントがあり、経営会議の場でも意識改革が進められてきた。
現場では、プロジェクトごとに小さな成功体験を積み上げるボトムアップ型のアプローチも並行。現在は7〜8件のデータ活用プロジェクトが進行中で、データ部門が各事業部に伴走しながら支援と人材育成を両立させている。

リアルとデジタルの融合による、新たな顧客体験へ

サンリオがCDPを高く評価する理由の一つが、「インテグレーションの柔軟性」だ。

「新システムとの連携も容易で、我々の要望にも迅速に対応してくれる。実装スピードの速さは非常に助かっています」(柴田氏)

この柔軟性は、屋内型テーマパーク「サンリオピューロランド」との連携にも生かされている。リアルな施設体験とオンラインストアでの購買データを統合的に管理することで、顧客の接触履歴を多面的に把握。オンラインとオフラインを横断する、シームレスな顧客体験の設計が可能になっている。

今後の大きな課題は、「生活者理解のさらなる深化」と柴田氏は言う。サンリオ商品は、衝動買いされるものから高関与商品まで幅広く、多様な購買行動が存在する。こうした特性に応えるために、行動経済学をはじめとしたアプローチを取り入れ、将来的に必要なデータやタッチポイントを設計する取り組みを進めている。

「今あるデータだけでなく、未来に必要となるデータをどのように設計し、蓄積していくか。この問いへの挑戦こそが、次の成長の鍵になると考えています」(柴田氏)

確実に前進しているサンリオの“データドリブン経営”への挑戦は。データを起点とした変革の光が、いま、組織全体に広がり始めている。

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