地方銀行として千葉市に本店を構える千葉銀行は2025年3月、「最高の顧客体験の創造」を目指して、NTTインテグレーションの支援を受けながらTreasureData CDPを導入し、データ分析・マーケティング基盤を構築した。
AIを活用しながら、顧客データの一元管理や、高速に施策の効果検証および改善を行うことで、顧客一人ひとりを深く理解し、寄り添ったOne to Oneマーケティングに取り組んでいる。
TreasureData CDPをどのように利用し、成果を得ているのか。千葉銀行のDXに迫った。

パーソナライズ×地域エコシステムを軸にしたDX戦略
千葉銀行は、スマートフォンで取引が可能な「ちばぎんアプリ」を提供するなど、デジタルインフラの構築と運用を推進している。パーパスである「一人ひとりの思いを、もっと実現できる地域社会にする」を起点に、行動原則として三つの誓い「お客さまの思いの実現」「お客さまの課題の解決」「お客さまの豊かなライフスタイルの実現」を掲げながら、デジタル戦略を立案・実行していることが特徴だ。
中期経営計画では、指針に「お客さま中心のビジネスモデルの進化」を掲げ、商品やサービス提供において「最高の顧客体験」をつくり上げていくことを目指し、顧客とのエンゲージメント向上に取り組んでいる。DXは、その価値創出の基盤の一つとして位置づけている。
DX戦略として立案したのは、大きく2つ。1つは、一人ひとりの顧客に最適な提案を届けるパーソナライズ戦略。もう1つは地域の事業者と個人をつなぎ、経済循環を活性化させる地域エコシステム戦略だ。それらを実現するために、デジタル資源の獲得や人材育成などを進めている。

加えて、最高の顧客体験の創造に向けた戦略をさらに高度化するべく、AI技術も積極的に活用。AIの活用支援を行うエッジテクノロジー社を完全子会社化し、デジタルマーケティングの高度化や業務効率化、顧客向けソリューションメニューの開発などをより一層加速させている。

TreasureData CDPを導入した2つの理由
2023年、千葉銀行は中期経営計画の実現に向けて、顧客一人ひとりに対するパーソナライズされた提案をどのように実現すべきかという検討を開始した。そのためには、デジタルマーケティングで得られるデータをきちんと活用し、顧客理解を深めることが必要だと考えた。また、そこで得られた顧客ニーズは、対面で顧客に向き合う営業担当者にも共有し、さらなる千葉銀行の利用促進が実現できるのではないかという期待もあった。
「アプリやWebサイト、店舗といったどのような接点においても、まるで1人の担当者がずっと付いてくれているかのように1人のお客さまを深く理解し、その声に寄り添った体験を提供すること。それこそが一人ひとりのお客さまにとって最高の顧客体験につながると、我々は考えました」
(榎本氏)

その構想を叶えるために導入を決めたのが、TreasureData CDPだ。この導入によって、顧客データの一元管理や、施策の高速なPDCAを可能にするためだ。数ある選択肢の中からトレジャーデータのCDPを選んだ理由は、次の2つだった。
1. 400以上の接続コネクタで様々なソリューションと連携可能
千葉銀行では今後、顧客への価値提供の範囲を広げていきたいと考えており、様々なシステムとの連携が大きな障壁になると考えていた。そこで、データの収集から活用に至るまで、多くの接続コネクタが標準で用意されているTreasureData CDPであれば、スピーディーに連携を進められると考えた。

2. カスタマージャーニーオーケストレーション(CJO)の機能に期待
CJOとは、アプリやWebサイト、店舗など顧客など複数の接点で提供される体験を、それぞれ個別の施策としてではなく、一つの「顧客体験の流れ(カスタマージャーニー)」として捉え、その全体を設計・制御していく仕組みだ。TreasureData CDPには、そのCJOを支援する機能が搭載されている。これにより、CDP上で一元管理されているデータから得られた顧客インサイトから、機械学習によって顧客プロファイルを生成して、そのデータに基づいてあらゆるタッチポイントに対し、動的に情報を提供できる。
「CJOを使えば、複数のチャネルを通じたカスタマージャーニーのシナリオを一元的に管理できます。つまりマーケティング担当者は、お客さま一人ひとりがどのような体験をして、次に何をお勧めすれば最も効果的なのかということを、全体を見ながらコントロールできるようになるということです。また、CJOによって、取組みの内容や効果をチーム内で共有しやすいという点も、非常に大きな魅力でした」
(榎本氏)

内製で高度な施策が実行できるように
千葉銀行が掲げる「最高の顧客体験の創造」は、例えば顧客の目線から見ると、営業店を訪れたときやちばぎんアプリを開いたとき、コールセンターに電話したときなどに、自分のことをよく理解してくれていると感じる提案がされることだ。また、生活の中で困ったとき、誰かに相談したいと思ったときなど、顧客自身が求めるタイミングやチャネルで、千葉銀行といつでもつながっていられることも重要になる。
そこで「Reform」と呼ぶ大胆な変革に着手し、TreasureData CDPの機能を最大限に活用した分析・マーケティング基盤を構築。CJO機能やコネクタに加え、より高度なセグメンテーションを可能にするペアレントセグメントの機能も使い、施策の展開を始めた。
TreasureData CDPの導入前は、顧客データが社内のオンプレミス型のデータベースに入っており、そこから手作業でデータを抽出して、キャンペーンの配信先などを決めていた。そのため、できる施策のほとんどが単発であり、担当者のスキルによっても施策の実施スピードに差が出ていた。
しかし、導入後は施策を自動化できるようになり、顧客に対するアプローチのバリエーションも大きく増加した。さらに、1つのプラットフォームの中ですべての機能が実行できるようになり、専門知識を持つデータサイエンティストではなくてもノーコードで予測モデルを作成できるようになったことで、多くの施策を効率的に管理し、かつ担当者のスキルレベルにかかわらず、誰でも高品質な施策を実行できるようになった。

たとえば、定期預金を促すための施策では、予測スコアリングの機能を活用し、見込みが高い顧客にメールを送信するシナリオを作成。従来の手法に比べて、施策実行にかかる時間や手間が、劇的に短縮できるようになった。
「PDCAサイクルの中で言えば、施策の実行と改善の部分に大きな効果を実感しています。私たちの合言葉は、『お客さまにとって最適なチャネルで、最適な商品・サービスを、最適なタイミングで受け取れること』です」
(榎本氏)
これを実現するには、施策を自動で実行できる仕組みに加え、状況に合わせて施策を細かくチューニングできる内製化された組織と、それを支えるインフラ環境も欠かせないと考えている。
TreasureData CDPの新機能である「AIマーケティングクラウド」は、マーケティング担当者が自然言語で問いかけを行うことで、AIが施策の立案から実行までを強力にサポートするというものだ。このAI機能が、内製化のカギになっているという。
「こうした数々の機能によって、行員目線で考えるマーケティングから、本当の意味での顧客中心マーケティングに大きく舵を切ることができると思っています。この分析・マーケティング基盤をさらに活用することで、法人のお客さまも含めたすべてのお客さまにきめ細やかなマーケティングを届けていきたいと思っています」
(榎本氏)
真のOne to Oneマーケの実現に向けて
千葉銀行のTreasureData CDPにまつわる一連の取り組みを支援したのが、NTTインテグレーションだ。

同社は、TreasureData CDPのプリセールス段階で、千葉銀行のデジタル戦略部やシステム部に対して10回近いコミュニケーションを行い、実際の活用イメージを共有。2024年5月に導入プロジェクトがキックオフしてからは、スケジュール通りの構築に注力し、2025年3月のリリース後は、自走する千葉銀行に伴走しながらサポートを行ってきた。
データの収集から、連携、蓄積、管理、活用までを一気通貫でサポートできることを強みとする同社は、トレジャーデータの優れた公式パートナーを選定・表彰する「Treasure Data Partner Award」を2020年以降の5年間で計4回受賞している。
「現在は月1回ほどコンタクトを取り、TreasureData CDPの最新テクノロジーをご紹介しながら、さらにエンゲージメントを高めるお手伝いをしています」
(中田氏)
スケジュール通りのリリースや内製化、その結果としてマーケティングの高度化ができたのは、「NTTインテグレーションのサポートがあってこそです」と語る榎本氏。
今後も千葉銀行は、NTTインテグレーションの支援を得ながら、データとAIを武器に「最高の顧客体験の創造」をさらに高度化し、真のOne to Oneマーケティングの実現に挑み続けていく。




