データウェアハウス(DWH)とカスタマーデータプラットフォーム(CDP)の違い

世界中で生成、使用、保存されるデータ量は2025年までに181ゼタバイト(1ゼタバイトは10億テラバイト、つまり1兆ギガバイトに相当)に達すると予想されています(Statista調べ)。データ量が指数関数的に増加する潮流において重要となるのは、誰がどれだけ多くのデータを持つかではなく、いかに戦略的にデータを活用するかということです。本稿では、クラウド型のデータウェアハウス(DWH)と、カスタマーデータプラットフォーム(CDP)という2つの代表的なデータストレージソリューションについて説明します。

データウェアハウスとは?

クラウド型のデータウェアハウス(DWH)は、複数の事業部門、ソース、データベースから大量のデータを受け取る、クラウド型の集中ストレージの一種です。このリポジトリは、顧客情報、ファイナンシャルデータ、トランザクション、チケットといった類のデータを保管、整理できる、いわゆる物理的なデータの倉庫(ウェアハウス)になぞらえて表現されています。本稿では、DWHと記載する場合は、クラウド型のソリューションを指しています。

DWHは情報を構造化された形式で保存し、カタログ化します。ITチームやデータ担当者は、DWHにアクセスし、素早くデータの分析を実行することができます。DWHのアーキテクチャは固定化されており分析に適している一方で、企業にてデータを活用する方法を制限することに繋がる場合があります。加えて、特定の情報種別(例えば構造化されたトランザクションなど)に偏っているため、顧客の行動、ビジネスパフォーマンス、消費者のトレンドといった潜在的なインサイトを獲得する際には制約が生じます。

DWHは新しい技術とはみなされませんが、ビジネス規模の大きい企業にとっては必要不可欠なプラットフォームであり、異なるソースから取得する大量のデータを意味ある内容に解釈することができる、セキュアで中央集約型のストレージを提供しています。ただし、その厳格なアーキテクチャにより、DWHを扱うには広範囲に渡ってIT担当者の監視が必要で、ビジネスにとって限定的な範囲の機能を提供するに留まります。

カスタマーデータプラットフォームとは?

カスタマーデータプラットフォーム(CDP)は、社内外における複数のソースから収集されたデータに基づき、より細やかな顧客プロファイルを構築する、統合顧客データ基盤です。データが格納されると、CDPはそれを整形して結合し、個別の顧客プロファイルを作成します。その顧客プロファイルは、売上の増加や顧客体験とサポートの改善、成長機会の特定を行うために、他社システムと連携することもできます

従来のDWHは、新しい情報を読み込むための定期的なダウンタイムとメンテナンスが必要であるため、リアルタイムまたはストリーミングでデータを取り込むことが困難でした。一方、CDPは、リアルタイム、イベントレベル、そしてストリーミングでデータを生成する類を含むマルチチャネルのデータソースから、構造化および非構造化データを取り込むように設計、構築されています。複数のソースから、あらゆる形式の情報を活用できるCDPの機能により、統合された、強固な顧客プロファイルを作成することでより深い消費者インサイトの獲得に貢献できます。これは競合他社にとってたやすく真似できない、競争優位性がもたらされます。

CDPを利用する目的は、マーケティング、サービス、そしてセールスを含む部門を横断し、企業全体で顧客中心主義を実現するためにデータを一元化することです。顧客プロファイルの統合、キャンペーンの調整、そしてデータセキュリティとプライバシーの強化を実現する、リッチ化されたデータを根拠とする分析に基づく、消費者インサイトを抽出することができます。

DWHとCDPの連携方法

データを取り扱うにあたって、DWHとCDPのソリューションの二者択一を行わなければならないという考え方は間違っています。DWHはCDPとは明確に異なるソリューションであると同時に、併用が可能なのです。

CDPは複数のソース及びチャネルからすべての種類のデータを取り込むことができるため、DWHから情報をエクスポートし、顧客データを更に充実させることができます。高性能なCDPは外部システム連携の柔軟性を機能として有しているため、顧客関係管理(CRM)システムやデータ管理基盤(DMP)などのシステムでもDWH同様、容易にデータの連携が行えます。これら外部ソースからのデータを活用することで、散在する顧客接点を結びつけ、マーケティングチームがチャネルを横断した顧客とのコミュニケーションをパーソナライズすることを可能にします。

例えば、あるブランドが新しい商品ラインのターゲット層を特定しなければならないケースを考えてみましょう。
その場合、まずDWHに保管されている過去の購入履歴や定期的な購買金額といった情報と、CDPで収集した顧客の行動やアクティビティなどの情報を組み合わせます。ブランドはこの包括的データを分析することで、特定期間内にターゲットとなる商品の発売キャンペーンに反応する可能性が高いプロファイルを予測することができます。同じ情報にもとづいて、CDPは類似オーディエンスの作成や、離反傾向のある顧客の特定などを行うことも可能です。

CDPがなければ、DWHにあるデータは、マーケティングの目的には活用できないままです。しかし、DWHからの情報がなければ、CDPの予測結果は必要十分な情報量に足るとはいえない場合があります。CDPとDWHを連携し、情報を補完することで、ブランドはデータ資産を最大限に活用して最適な結果を得ることができるのです。

トレジャーデータでデータを活用しましょう

とはいえ、すべてのCDPが同機能を有する訳ではありません。Treasure Data Customer Data Cloudは、データの複雑さをシンプルにし、ビジネスチャンスを創出するエンタープライズ企業の要件に対応したCDPで、Fortune 500やGlobal 2000の世界的な企業に信頼されています。トレジャーデータは、顧客データの収集および一元的な管理、統合プロファイルの作成、カスタマージャーニーの分析により、顧客行動の隠れたトレンドを明らかにするインサイトを提供する、データ分析のパートナーです。

大規模企業や組織にとって、Treasure Data CDPは次のような利点があります。

  • DWH、CRM、DMPといったシステム、複数チャネル、顧客接点を含むすべてのソースのデータを統合可能
  • データベース、Web、モバイルソースからのストリーミング、リアルタイム、そしてバルクでの取り込み
  • B2BおよびB2Cの主要なSaaSアプリケーションとの連携
  • 企業全体におけるデータ管理とアクセシビリティの簡素化
  • 使いやすいユーザーインターフェース
  • マーケター向けにビジュアライズされた、コーディング不要のカスタマージャーニーキャンバス
  • 人工知能と機械学習機能を利用可能
  • 単一の顧客IDによる、顧客プロファイルの統合
  • 効果的なマーケティング活動を支援するオーディエンスのセグメンテーションとターゲティング
  • 拡張性の高いエンゲージメントとカスタマージャーニーのパーソナライゼーション

Treasure Data CDPが今お使いのDWHとどのように連携するかを詳しく知りたい場合は、お気軽にお問い合わせください。

顧客データの統合・活用にお悩みの方は、お気軽にご相談ください

顧客データ活用とは?~CDP入門ウェビナー基礎編~

CDPについて、初歩的な部分から理解を深めることができます。

セミナーに申し込む
CDP導入相談ルーム

導入・運用の疑問や不安を解消できます。

相談を予約する
お問い合わせ

その他、ご不明点などお気軽にお問い合わせください。

問い合わせる